1999 Fiscal Year Annual Research Report
高温金属表面におけるシランの分解反応素過程に関する研究
Project/Area Number |
11450297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
越 光男 東京大学, 大学院・工業系研究科, 教授 (20133085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸野倉 賢一 東京大学, 大学院・工業系研究科, 助手 (00260034)
三好 明 東京大学, 大学院・工業系研究科, 助教授 (60229903)
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Keywords | シラン / ホットフィラメント / 反応素過程 / CVD / 表面反応 / シリコン / シレン |
Research Abstract |
高温金属表面におけるシランの分解過程を、気相での化学反応の寄与が無視できる状態で観測するための装置を設計・試作した。すなわち、真空槽中に設置した高温金属フィラメントに、ノズルから噴出したシランを吹き付け、金属表面からの脱離種を、真空紫外光でイオン化して、質量分析計で検出した。この装置では無衝突状態で生成物がフラグメントイオンの生成なしに観測できる。 製作した装置を用いて、タングステン、タンタル、ニッケルなどのフィラメントを用いて表面反応生成物を観測し、シリコン原子が主要な脱離種であることを確認した。またシリコン原子生成の温度依存から、シランの分解はフィラメント近傍の熱分解ではなく、表面触媒反応であることを確かめた。タングステンフィラメントについてはさらに詳しい解析をおこない、1500K以下では表面でシリサイドが生成し、シリサイドの生成に伴い、シレンおよびシリルラジカルがシリコン原子と共に生成することを見いだした。シレンおよびシリルラジカルは1500K以上では急激に減少し、1600K以上での主要生成物はシリコン原子となる。また1800K以上ではシリコン原子の生成量も減少し始める。このような脱離生成物の挙動を説明するために、表面におけるシランの反応素過程モデルを構築し、数値計算結果と実験結果を比較した。表面に吸着したシランが極めては速く表面上で段階的に乖離すること、および高温では表面上のシリルラジカルと水素原子が脱離してシランを生成することを仮定したモデルによって実験結果を矛盾なく説明できる事が分かった。
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