1999 Fiscal Year Annual Research Report
新規な多孔構造体の創製を目指した環境低負荷型超臨界CO_2誘起相分離法の考案
Project/Area Number |
11450299
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
寺本 正明 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (60026086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 泰輔 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (10293987)
松山 秀人 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (50181798)
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Keywords | 多孔膜 / 超臨界流体 / 光散乱法 / spinodal分解 / 非対称構造 |
Research Abstract |
本研究では、超臨界CO_2を高分子の非溶媒としてとらえ、超臨界流体誘起により相分離を起こさせる新規な手法により多孔膜の作製を行った。種々の条件下で製膜を行い、操作条件と得られた膜構造との相関について系統的に検討することに加え、相分離過程を光散乱法により検討し製膜過程の解析を行い、膜構造の定量的な制御に関する指針の確立も本研究の目的である。従って、まず光散乱法の習熟を目指して、通常の熱誘起相分離法による相分離過程の検討を行った。spinodal分解機構に特有のリング状の散乱像が得られ、Cahnの線形化理論によりspinodal分解初期過程の特性値を求めた。クエンチ幅が大きくなるほど、見かけの拡散係数D_<app>は増加し、一方構造周期の大きさΛは小さくなった。さらに中期・後期過程でのスケール則について検討を加えた。 700mlの超臨界CO_2溜を有する超臨界流体供給装置を備品として購入した。さらに、内径52mm高さ20mmの可視窓付き膜作製高圧セルを試作した。設計温度は200℃、設計圧力は、40MPaである。高分子としてポリスチレンを用い、溶媒はキシレンであった。キシレンはポリスチレンの良溶媒であるため、溶媒を蒸発させただけでは多孔膜は形成せず、均一な構造が得られた。一方、ポリスチレン溶液に超臨界CO_2を導入することにより、多孔膜の作製に成功した。膜溶液の表面にはskin層が形成しており、顕著な非対称性構造が得られることがわかった。孔径は、超臨界流体の圧力や、減圧時間に依存していた。また、従来の通常の非溶媒(水)を用いた対照実験を行った結果、超臨界流体を用いた場合の方がより明確な非対称性となることがわかった。
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