2000 Fiscal Year Annual Research Report
ディスポーザブルなマイクロチップを用いた生体高分子の反応及び分離検出
Project/Area Number |
11450318
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 輝夫 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (30251474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 貴富喜 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20322688)
関 実 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (80206622)
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Keywords | マイクロチップ / キャピラリ電気泳動 / シリコーンゴム / ディスポーザブルチップ / Micro-TAS / DNA解析 / ゲノム解析 |
Research Abstract |
本研究では、シリコン基板上に製作した構造を鋳型にして、シリコーンゴムを用いたマイクロモールディングを行うことによって、安価でディスポーザブルなマイクロチップを製作することを目指している。2年度目である平成12年度は、前年度までに開発した方法によって製作したマイクロチップを実際に用いて、DNAなどの具体的なサンプルについて、キャピラリゲル電気泳動及びフリーフロー電気泳動を試みた。その詳細を以下に示す。 1)キャピラリグル電気泳動 20mm×20mmのシリコーンゴムチップ上に幅400μm、深さ40μmのI字型のチャネル構造を形成し、これをアクリル板でシールした構造を用いて、チャネル内におけるDNAの電気泳動分析を試みた。チャネル内をあらかじめ親水化処理しておいた状態で60℃程度まで加熱し、毛細管現象を利用してゲル溶液を導入した後に室温まで冷却することにより、ゲルマトリクスの準備を行う。その後、サンプルを導入して、まず、サンプルプラグを形成するために短時間(1秒程度)チャネルの両端に電圧を印加する。サンプルがゲル上にロードされたことを確認した後、残ったサンプル溶液をバッファで洗い流し、電気泳動を行った。100bpから1kbpまで100bp毎の長さの断片を含むDNAサンプルについて、電気泳動を行ったところ、2分程度でクリアなピークプロファイルを得ることに成功した。この結果を得る過程で、ゲルマトリクスの準備や電圧制御の方法などについて、様々な検討を行い、それらの最適化を行った。 2)フリーフロー電気泳動 2インチ×3インチのシリコーンゴムチップ上に幅100mm、深さ50mmで十字型のインジェクションチャネルを有するマイクロチャネル構造を形成し、ガラス板でシールした構造を用いて、DNAのフリーフロー電気泳動分析を試みた。この場合、ゲルマトリクスを用いるのではなく溶液状態のゲルを分離媒体として用いることになるが、上記と同様のサンプルについて、数秒から十数秒で分離できることを確認した。詳細の検討については次年度以降に行うことを計画している。
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[Publications] Hong,J.W.,Fujii,T.,Seki,M.,and Endo,I.: "Optimization of DNA Separation by Capillary Gel Electrophoresis on a Microfabricated Polymer Chip"Chemical Engineering Symposium Series. Vol.65. 177-180 (2000)
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[Publications] Hong,J.W.,Hosokawa,K.,Fujii,T.,Seki,M.,and Endo,I.: "Microfabricated Structures for Bioseparation"Bioseparation Engineering, Progress in Biotechnology, Elsevier. 16. 69-74 (2000)
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[Publications] 藤井輝夫,福場辰洋,長沼毅,遠藤勲: "マイクロチップによる生化学反応分析技術の開発と極限環境微生物探査への応用"第1回極限環境微生物学会年会講演要旨集. 27-30 (2000)
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[Publications] Fujii,T.: "Downsizing Biochemical/Chemical Processes-Technologies and Future Perspectives-"Proceedings of the International Workshop on Microfactories (IWMF2000). 111-114 (2000)
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[Publications] Fujii,T.: "New Approach to Chemistry and Biochemistry through Microchip Technology"Proceedings of the Sixth International Micromachine Symposium. 105-109 (2000)
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[Publications] Hong,J.W.,藤井輝夫,関実,山本貴富喜,遠藤勲: "PDMS.ガラスハイブリッドマイクロチップによる遺伝子解析"第20回キャピラリー電気泳動シンポジウム要旨集. 48-49 (2000)