1999 Fiscal Year Annual Research Report
溶融塩を反応媒体としたアンヒドラス合成プロセスの確立
Project/Area Number |
11450327
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 靖彦 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 教授 (20026066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野平 俊之 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 助手 (00303876)
後藤 琢也 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 助手 (60296754)
萩原 理加 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 助教授 (30237911)
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Keywords | 溶融塩 / アンヒドラス / 材料合成プロセス / 電気化学 / 脱水精製 |
Research Abstract |
平成11年度は、まず、溶融塩の高度脱水方法の開発を試みた。ガス循環精製装置付きグローブボックス内にて、代表的なアルカリハライドであるLiClとKClを共融組成に混合し、約573Kに加熱した状態でコールドトラップを介して約48時間真空ポンプで排気した。その後、673Kで溶解させ、Mo電極を用いてサイクリックボルタンメトリーを行った結果、水分等の不純物による残余電流は約1mAcm^<-2>であり、このような脱水処理を行わなかった場合に比べ、数分の一に減少していた。次に、さらなる不純物の除去法として、グラッシーカーボンを陽極、白金板を陰極とし、極間電圧2.5Vで予備電解を行った。その結果、残余電流は、約0.5mAcm^<-2>と2分の1に減少し、予備電解が有効であることが分かった。また、溶解LiCl-KClの、より簡易な不純物金属イオンの除去法としては、水素化リチウム(LiH)添加も有効であることが分かった。ただし、不純物が水分の場合、最終生成物がO^<2->になると考えられるため、O^<2->のさらなる除去を行う必要がある。 次に、従来の研究で用いられてきた電解セル(溶融塩量300〜500g)のスケールダウンを試みた。電気炉、るつぼ、電極などをスケールダウンすることにより、溶融塩量80〜100gでも十分に電気化学測定可能な装置を組むことができた。この装置により、溶融LiCl-KClにSmCl_3もしくはYbCl_3を添加した浴中においてNi-SmおよびNi-Yb合金の形成に成功した。 以上の知見を基盤として新規な材料合成プロセスの開発を試み、電気化学インプランテーションにより、溶融LiCl-KCl-Li_3N中ではFe-N、Fe-Sm-N、Co-N、A1-Nなど、溶融LiCl-KCl-RECl_3(RE=希土類)中ではNi-Dy、Ni-Tb、Pd-Ce合金などの機能性材料の形成に成功した。また、電気化学ディスプランテーションによりNi-Dy、Ni-Tb、Ni-Sm、Ni-Yb、Pd-Ce合金中の希土類元素の濃度を制御しながら減少させ得ることも分かった。
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