2001 Fiscal Year Annual Research Report
共役ポリインを構造単位とする新規拡張パイ電子系の創出
Project/Area Number |
11450346
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
戸部 義人 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (60127264)
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Keywords | ポリイン / フラーレン / グラファイト / ナノチューブ / パイ電子系 / 芳香族化合物 / シクロファン |
Research Abstract |
本研究は、炭素同素体の物性と同等の性質をもつナノスケールの平面パイ電子系化合物を合成し、その物性を調べることにより未知の同素体の性質を検証することを第一の目的として行った。また、高反応性三次元共役ポリインの発生とその環化によりフラーレンを溶液中あるいは気相で合成すること、ならびに高次フラーレンおよびヘテロフラーレンの異性体選択的合成、遷移金属内包フラーレンの合成を行うことをもう一つの目的として研究を行った。 まず、ベンゼン環とアセチレンにより構成された拡張グラファイト構造の合成に関しては、すでに合成した周辺部分に相当する大環状分子の溶液中での会合挙動について詳細な検討を行い、ナノチューブ状の会合体を形成するという興味ある現象を見いだした。一方、核となるヘキサエチニルベンゼン誘導体の高効率合成に基づくグラフィンモチーフ分子の合成研究を行い、最終的な環形成には至っていないが、環化に適した種々の官能基を有する前駆体合成を行うことができた。同時に、新規な三重結合形成法の開発や不安定中間体の生成と遷移金属錯体触媒を用いるベンゼン環構築法の開発等、新しい合成手法の開発に取り組み、それぞれ目的の成果をあげた。 多環状ポリインからのフラーレンのマクロ量合成ついては、ポリイン前駆体の熱分解あるいはオーブンレーザーを用いた分解反応を検討したがC60フラーレンを選択的に得るには至っていない。一方、[2+2]開裂法を用いていくつかのヘキサトリイン架橋高ひずみシクロファンを生成することに成功し、脱水素化による炭素クラスターの生成について検討した。また、それらの構造を光電子スペクトルを用いて調べ、前駆体の構造とそれらから生成したクラスターの構造との関係について検討した。高級フラーレンの生成に関連して、ジアリールジエンインの熱反応による環化脱水素により、多環芳香族化合物が生成することを見いだした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yoshito Tobe: "Polyyne Cyclization to Form Carbon Cages: [16.16.16](1, 3, 5)Cyclophane-tetracosayne Derivatives C_<60>H_6 and C_<60>C1_6 as Precursors to C_<60> Fullerene"Tetrahedron. 57(17). 3629-3636 (2001)
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[Publications] Yoshito Tobe: "Vinylidene to Alkyne Rearrangement to Form Polyynes: Synthesis and Photolysis of Dialkynylmethylenebicyclo[4.3.1] deca-1, 3, 5-triene Derivatives"Tetrahedron Letters. 42(32). 5485-5488 (2001)
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[Publications] Motohiro Sonoda: "Synthesis of Differentially-Substituted Hexaethynylbenzenes Based on Tandem Sonogashira and Negishi Cross-Coupling Reactions"Organic Letters. 3(15). 2419-2421 (2001)
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[Publications] Yoshito Tobe: "Syntheis of Butadiyne-Bridged [4_n]Metacyclophanes Having Exo-annular t-Butyl Groups"Tetrahedron. 57(38). 8075-8083 (2001)
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[Publications] Yoshito Tobe: "[12.12]Paracyclophanedodecaynes C_<36>H_8 and C_<36>Cl_8: The Smallest Paracyclophyne and their Transformation into Carbon Cluster lon C_<36>"Angewandte Chemie International Edition. 40(21). 4072-4074 (2001)
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[Publications] Yoshito Tobe: "meta-Diethynylbenzene Macrocycles: Syntheses and Self-Association Behavior in Solution"Journal of the American Chememical Society. 114(印刷中). (2002)