2000 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒による新規で有用な結合形成・切断反応の開発
Project/Area Number |
11450351
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田丸 良直 長崎大学, 工学部, 教授 (80026319)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 修司 九州大学, 有機化学基礎センター, 助教授 (80217033)
|
Keywords | アリルアルコール / アリル化 / パラジウム / 極性転換 / 活性メチレン化合物 / アルキルアルデヒド |
Research Abstract |
アリルアルコールを原料として用いる、パラジウム触媒による活性メチレン化合物のアリル化反応を開発した。この種の反応では事前のアリルアルコールの活性化が必要で、例えば、酢酸アリルとかアリルハライドが原料として一般に用いられている。本研究ではトリエチルホウ素を用いることにより、より安価で、入手が容易、かつ安定なアリルアルコールを直接、原料として用いることが出来ることを示した。即ち、酢酸パラジウム(0.1〜0.05当量)存在下、トリエチルホウ素、アリルアルコール、アセチルアセトンを室温で窒素雰囲気下撹拌すると、アセチルアセトンのα-位でのアリル化生成物が定量的に得られた。本反応は多様な構造をもつアリルアルコール類に対しても一般的に適用できる。 とりわけ注目すべきことに、同様の反応条件下、脂肪族アルデヒドのα-位でのアリル化も可能であることも分かった。脂肪族アルデヒドのα-位でのアルキル化はそのエノラートが反応活性すぎるために副反応を起こしやすく、極めて困難な反応であることが知られている。この点からも、本研究で発見した反応は極めて重要な意味をもつ。また,ケトンのα-位でのアリル化も同様の条件下でスムーズに進むことも発見した。 更に、同様の条件下、アリルアルコールによるアルデヒドカルボニルの求核的なアリル化も進みホモアルルアルコールを与える事も発見した。 以上の結果は,パラジウムを触媒とし、トリエチルホウ素存在下、アルルアルコールが親電子的アリル化剤としても、求核的アリル化剤としても作用する事を意味しており、極めて画期的な、今後の展開が期待できる発見である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 堀野良和: "Novel 1,3-Sulfonyl Shift and [4+2] Cycloaddition Reaction of N-Allenyl Sulfonamide Promoted by Allylsilane"Tetrahedron Lett.. 41. 3427-3431 (2000)
-
[Publications] 木村正成: "Et_3B-Pd-promoted Allylation of Benzaldehyde with Allylic Alcohols"Tetrahedron Lett.. 41. 3627-3629 (2000)
-
[Publications] 田丸良直: "Et_3B-promoted, Pd(0)-catalyzed Allylation of Active Methylene Compounds with Allylic Alcohols"Tetrahedron Lett.. 41. 5705-5709 (2000)
-
[Publications] 木村正成: "Ni(0)-catalyzed Regio- and Stereoselective Coupling Reaction of Me_3B, Isoprene, and Aromatic Aldehydes"Tetrahedron Lett.. 41. 6789-6793 (2000)
-
[Publications] 柴田和文: "Nickel-catalyzed three-component connection reaction of a phenyl group, conjugated dienes, and aldehydes"J.Organometal, Chem.. (印刷中). (2000)
-
[Publications] 根岸英一: "Palladium Handbook"Wiley(印刷中). (2000)