1999 Fiscal Year Annual Research Report
共役系高分子を用いた自己組織型分子被覆導線の電気物性
Project/Area Number |
11450362
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 耕三 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (00232439)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 武史 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (40292768)
|
Keywords | 共役系高分子 / 導電性高分子 / 分子被覆導線 / 分子導線 / 超分子 / 包接錯体 / 原子間力顕微鏡 / 分子内導電率 |
Research Abstract |
我々は、従来より溶液中における共役系高分子1本鎖の電気的性質特に分子内電気伝導に焦点を当て研究を進めてきたが、最近、絶縁性の環状分子であるシクロデキストリン(CD)を代表的な可溶性共役系高分子であるポリアニリン(PAn)と溶液中で混合したところ、紐状の共役系高分子の回りに環状分子が自発的に集合し、ネックレス状の分子集合体いわば分子被覆導線が形成される現象を見出した。本研究では、このような共役系高分子と環状分子からなる自己組織型分子被覆導線を作成し、分子被覆導線の電気伝導度の温度・共役状態依存性を明らかにすることを目指している。 初年度である本年度は新規に原子間力顕微鏡(AFM)を導入し、CDとPAn、およびCDから合成される分子ナノチューブとPAnの混合系への適用を行った。AFMのノンコンタクトモードを用いて測定を行った結果、CDとPAnおよび分子ナノチューブとPAnにおいて1本に単離された棒状の包接錯体、すなわち分子被覆導線を観測した。特に、分子ナノチューブとPAnにおいては室温において高い収率で分子被覆導線が得られることがわかった。 さらに、AFMのカンチレバーを分子に接触させて動かすことにより、分子をマニュピレートしたり、切断したりすることが可能であることが明らかとなった。分子をマニュピレートして任意の位置におく技術は、任意の2点間を分子被覆導線を用いて配線する際に重要となると考えられる。 溶液中でこの分子被覆導線の酸化を行い、その際の光吸収スペクトルの時間変化を調べたところ、被覆されていないPAnに比べて著しく酸化が抑制されていることが明らかとなった。これによりPAnの外側を覆うCD分子が酸化を防止していることが明らかとなった。
|
-
[Publications] 伊藤耕三: "分子被覆導線"科学と工業. 52・9. 1170-1173 (1999)
-
[Publications] Yasushi Okumura: "Switching transition of molecular nanotubes forming an inclusion complex with block copolymers in solutions"Physical Review E. 59・4. 3823-3826 (1999)
-
[Publications] Yasushi Okumura: "Observation of supramolecular structure of molecular nanotubes and starpolymers by scanning tunnneling microscopy"高分子論文集. 56・12. 833-836 (1999)
-
[Publications] Tosiaki Miura: "Dynamics of the inclusion complex formation between molecular nanotubes and flexible polymer chains"Journal of the Physical Society of Japan. 68・5. 1740-1745 (1999)
-
[Publications] Eiji Ikeda: "Inclusion behavior between molecular nanotubes and linear polymer chains in aqueous solutions"Journal of Chemical Physics. 112・9. 4321-4325 (1999)
-
[Publications] Takeshi Shimomura: "Inclusion effect of an inclusion complex formed by polyaniline and β-cyclodextrin in solution"Polymers for Advanced Technologies. (印刷中).
-
[Publications] Yasushi Okumura: "Theory on inclusion behavior between cyclodextrin molecules and linear polymer chains in solutions"Polymers for Advanced Technologies. (印刷中).