2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11450369
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
長谷川 博一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60127123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西条 賢次 京都大学, 工学研究科, 教務職員 (60115847)
竹中 幹人 京都大学, 工学研究科, 助手 (30222102)
橋本 竹治 京都大学, 工学研究科, 教授 (20026230)
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Keywords | ブロック共重合体 / ポリマーブレンド / ミクロ相分離 / 共連続構造 / ジャイロイド / 単結晶 / 格子欠陥 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
二種類の互いに非相溶な高分子を共有結合で連結したブロック共重合体は、ミクロ相分離構造と呼ばれる周期的ナノ構造を形成する。ポリスチレン-ポリイソプレンジブロック共重合体(SI)とポリスチレンホモポリマー(HS)との混合系においては、狭い組成領域にGyroid構造と呼ばれる共連続なミクロミクロ相分離構造が出現する。本研究はこのGyroid構造からなる単一グレイン構造(Gyroid単結晶)の製造法の確立ならびに、その成長機構や欠陥構造をはじめミクロ相分離構造からなる単結晶の本質の解明を目的とした研究を行い、以下の結果を得た。 1)Gyroid構造が出現する組成領域を精確に決定した。Gyroid構造やラメラの一方の層に六方格子状の穴が開いたHPLと呼ばれる構造が出現する組成領域はComplex Phase Windowと呼ばれているが、この領域では多くのミクロ相分離形態の共存が観測されている。本研究ではこれらの形態が溶媒の蒸発速度などのキャスト条件に依存することを明らかにした。 2)キャスト時の熟成時間を変化させた試料について透過電子顕微鏡(TEM)観察を行うことによって、Gyroid単結晶の成長過程を類推した。その結果、Gyroid単結晶の成長過程には2通りの様式が存在することが明らかになった。一つはGyroid単結晶が乱れた共連続構造であるSponge構造のマトリックス中に生成・成長する場合(I)であり・他の一つはGyroid単結晶がHPL構造をとるマトリックス中に生成・成長する場合(II)である。 3)成長様式の違いにより、最終的に生成するGyroid単結晶はその外形やサイズおよび内部の欠陥構造に大きな違いが生じることが明らかになった。(I)ではSponge構造から過剰のHSが排除され、Gyroid構造に転移するが、Gyroidグレインどうしの合体・再配列によってもGyroid単結晶が成長する。そのため内部にHSの凝集相などの欠陥を含みやすい。しかし、(II)ではHPL構造が転移してGyroid構造ができると考えられるが、Gyroiの核生成が少ないためGyroidグレインどうしの衝突はほとんど起きず、欠陥のない大きなGyroid単結晶が得られる。 Gyroid単結晶は高機能ナノ材料あるいは光学・電子材料としての応用が期待される。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K.Mori, H.Hasegawa, T.Hashimoto: "Order-Disorder Transition of Polystyrene-block-Polyisoprene. 2. Characteristic Length as a Function of Polymer Concentration, Molecular Weight, Copolymer Composition and x-Parameter"Polymer. 42(7). 3009-3021 (2001)
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[Publications] D.Yamaguchi, M.Takenaka, H.Hasegawa, T.Hashimoto: "Macro-and Microphase Transitions in Binary Blends of Block Copolymers with Complementarily Asymmetric Compositions"Macromolecules. 34(6). 1707-1719 (2001)
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[Publications] D.Yamaguchi, H.Hasegawa, T.Hashimoto: "A Phase Diagram for the Binary Blends of Nearly Symmetric Diblock Copolymers. 2. Parameter"Macromolecules. 34(18). 6506-6518 (2001)
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[Publications] K.Yamauchi, H.Hasegawa, T.Hashimoto, N.Kohler, K.Knoll: "Synthesis and Morphological Studies of Polyisoprene-block-polystyrene-block-poly(vinyl methyl ether) Triblock Terpolymer"Polymer. 43(in press). (2002)
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[Publications] 長谷川博一: "多成分系ブロック共重合体のナノ構造解析と制御"繊維学会誌「繊維と工業」. 58. 28-31 (2002)
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[Publications] H.L.Chen, S.C.Hsiao, T.L.Lin, K.Yamauchi, H.Hasegawa, T.Hashimoto: "Microdomain-Tailored Crystallization Kinetics of Block Copolymers"Macromolecules. 34(4). 671-674 (2001)
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[Publications] 橋本竹治, 長谷川博一: "材料と評価の最前線"培風館(日本材料学会編)(分担執筆). 7 (2001)