2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11450371
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Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中前 勝彦 神戸大学, 工学部, 教授 (40031075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 功一 神戸大学, 工学部, 助手 (50283875)
西野 孝 神戸大学, 工学部, 助教授 (40180624)
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Keywords | 高分子 / 表面 / 緩和 / 吸着 / 分子運動 / ダイナミックス / 表面間力 / 高分子ブラシ |
Research Abstract |
単分散のスチレン-ビニルピリジンジブロック共重合体や、側鎖に官能基をもつモノマーとスチレンとのランダム共重合体などの構造制御された高分子を合成した。これらの高分子鎖を平滑な基板表面に吸着させることにより、ブラシ層をもつモデル表面を調製した。このような表面どうしが近接したとき働く表面間相互作用について詳しい知見を得るため、まず、吸着層厚さ、吸着高分子鎖の体積分率、吸着鎖間の距離、分子形態、分子運動性などに関する測定を行った。測定には、誘電分散測定装置、原子間力顕微鏡、エリプソメーター、動的光散乱測定装置、動的粘弾性測定装置などを駆使し、平滑表面の作製には自動研磨装置(平成12年度購入設備)を使用した。一方、高分子の吸着した表面を近接させ、それらの表面間に働く力の緩和過程の追跡を、昨年度に引き続き行った。測定には、表面間力測定装置を利用した。急速に表面を近づけることにより斥力が生じ、その力が時間とともに緩和して平衡値に達する様子が観測された。また、急速に表面間を引き離した際には、高分子鎖の絡み合いにもとづくと考えられる引力が測定された。これらの力の近接(あるいは隔離)速度依存性、および経時変化を測定することにより、界面に拘束された高分子鎖のダイナミックスを観察するための実験手法を検討し、基礎的な知見の集積に成功した。以上の研究結果を、高分子鎖の拘束空間における相互拡散ならびにhydrodynamic forceに関連させて考察し、吸着高分子鎖の動的な振る舞いについて分子論的理解を深めた。現在、これらの研究結果をとりまとめ、学術雑誌への投稿する準備を進めている。
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