1999 Fiscal Year Annual Research Report
極低温燃料タンクの燃料漏洩性に関する構造力学的研究
Project/Area Number |
11450375
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 隆平 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (00202466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 隆司 科学技術庁, 航空宇宙技術研究所・構造研究部, 室長(研究職)
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Keywords | 積層板 / 燃料漏洩 / トランスバースクラック / 極低温燃料 / CFRP / 開口量 / 宇宙往還機 |
Research Abstract |
再利用型宇宙往還機の実現の成否は,炭素繊維強化複合材料(CFRP)などの複合材料の,機体構造への幅広い適用による重量軽減に依存する.特に,打ち上げ総重量の9割近くを占める極低温液体燃料を蓄える燃料タンクの軽量化が最も期待される.本研究では,積層板においてトランスバース・クラック等の損傷が漏洩経路となって,液体燃料の板厚方向の漏洩性に影響を与える可能性について,構造力学的な側面から実験的及び解析的に調べることを目的とした.その結果今年度は以下の成果が得られた. 1.積層板のヘリウム漏洩実験より,トランスバースクラックが各層に存在する積層板で,実際に燃料が漏洩し得ることを確かめた. 2.積層板を通る燃料漏洩量と荷重の関係について,損傷の開口量等の構造力学的評価によって,定量的に説明できる可能性があることを示す結果が得られた.また,漏洩量が面内の荷重比率にも影響を受けることが明らかになった. 3.解析では,極低温状態を考えた場合に積層板の材料定数の温度依存性を正しく評価する必要があることが明らかになった.特に,この研究では積層板の開口変位量の予測が重要であるが,これも材料定数の温度依存性を受けるため精度良い評価が必要である. 4.燃料漏洩について,予備的な解析結果と常温での実験結果の比較から,解析による漏洩量の予測モデル構築の可能性を検討した.またこのモデルを使って,常温での漏洩量から極低温での漏洩量を予測することの可能性も検討した. 以上より,従来は全く行われていなかった積層板の漏洩の力学的予測について,構造力学的に損傷の挙動を評価することで精度良い予測ができる可能性があることが示された.この実績に基き,来年度の研究では漏洩の予測モデルの確立と実証を行う予定である.
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[Publications] Takahira AOKI 他: "Mechanical Behavior of CF/Polymer Composite Laminates under Cryogenic Enviromment"Proceedings of the ICCM-12. CD-ROM. (1999)
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[Publications] 熊澤 寿 他: "再使用ロケット推進剤タンク用CFRP積層板における燃料漏れの熱ひずみ・荷重の影響"第41回構造強度に関する講演会講演栞. 77-80 (1999)