2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11450382
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松村 清重 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10135668)
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Keywords | 未定境界問題 / 変分原理 / 随伴変分原理 / 滑走艇 / 非定常性 / クッタの条件 |
Research Abstract |
今年度は非定常滑走艇の変分原理について次の2点について調査した。 1)重力影響を伴う滑走艇の非定常未定浸水面問題の順解法 この問題は非定常波動が生じるため、定常翼理論をそのままには延長できない。そこで2次元非定常翼理論に倣った解法を試みた。問題は2点あり、一つ目は定常滑走艇理論は翼理論と全く同じ定式化であるにも関わらず、非定常問題では波が生じるため見かけ上の定式化が異なる。2点目は滑走艇後端での水切れ条件、すなわちクッタの条件が何かを明らかにすることである。前者の問題はフーリエ変換表示の波動グリーン関数を、変数変換により、水面に分布する渦面で表現できることが分かった。これで問題は船底圧力を未知関数とする積分方程式に帰着された。後者の問題は物理的には波面の挙動に関する条件であるが、積分方程式を作る上では、水面圧力が0の条件でよく、渦表現では滑走艇下半部の渦の総量の時間変化率と単位時間当たりの流出渦度の和が0という条件に置き換えうることがわかった。 2)非定常滑走艇の随伴変分原理 定常問題にならった変分原理の作成を試みた。定常問題の順解法では、滑走艇の傾きに関する方程式と滑走艇の高さに関する方程式の2本が必要であり、随伴変分原理とするためには順流れに加えて逆流れの方程式の合計4本の連立積分方程式をオイラーの方程式が導出できる必要があった。このため、未定関数は圧力ではなく、船底圧力の不定積分関数と、その後端での値、即ち渦の総循環の2つに分割することで対処していた。非定常滑走艇の場合は、圧力の時間的伝播を考慮した不定積分関数を考えることで、4本のオイラー式が導出できることがわかった。このことは、自由表面条件に現れる微分作用素の形を忠実に保持すべき事を意味する。また非定常の変分原理で角振動数を0にすれば、微分作用素も定常のものに自然と移行し、定常の変分原理が得られることがわかった。時間については1周期分の時間積分を行えばよく、逆時間流れを考える必要はないこともわかった。
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