2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11450395
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 誠介 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (90092155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 政雄 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00011172)
福井 勝則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70251361)
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Keywords | 岩石 / 破壊基準 / 長期強度 / 岩盤内構造物 / 地圧 / クリープ / 応力緩和 / 構成方程式 |
Research Abstract |
本研究では,まず従来の研究成果を広い範囲で収集し検討した.ついで,従来の研究で不明な点を補うため,室内試験をいくつか実施した.両者より,時間依存性を考慮した破壊基準を提案した.さらに,この提案した破壊基準を外挿し,長期強度を予測することを試みた.最後に,地圧を利用して,予測した長期強度を検証した.以上の手順で,岩盤の長期強度について新たな知見を得ることを本研究の目的とするが,本研究の新規性は次の2点にあると考える.(1)破壊基準に時間依存性の概念を導入する.(2)長期強度の検証に,地圧の測定結果を用いる. 歪や変位が長期にわたって変化し続けることを認めると,長期にわたって使用する予定の構造物の設計にあたってはクリープ変形のできるだけ正確な評価が重要になってくる.最近,放射性廃棄物の地下処分や大深度地下の利用などが話題となったこともあって,長期にわたる岩盤の変形挙動が注目されるようになってきたことに本研究は呼応するものと考えている. 筆者の提案した構成方程式の一つでは,岩石の変形速度ないし歪速度は破壊限接近度のn乗に比例するとした.この考え方では,破壊限接近度が0になると当然のことながら,岩石は変形しなくなる。今回用いた地圧のデータは,ごく少数の例外を除いて,計算上の破壊限接近度が負の値をとる領域に入っている.破壊限接近度が負の領域では,変形は進むがその変形は破壊につながらない可能性がある.すなわち,変形は,クラックの進展などと結び付いており破壊につながるものと,空隙の縮小などと結び付いておりかえって強度の増加につながるもの(healing)とがあると考えられる.この点は,岩盤内構造物の超長期安定性を考えるとき,極めて重要と考えている.ただし,これらの事項を,実験室実験や理論で検討する手段が確立されているわけではなく,検討は今後の研究に委ねられる.
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