1999 Fiscal Year Annual Research Report
イネ胚乳のアミノ酸組成からみた品質・食味の改良に関する研究
Project/Area Number |
11460002
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
笹原 健夫 山形大学, 農学部, 教授 (20005606)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 利徳 山形大学, 農学部, 助教授 (80202670)
|
Keywords | Oryza sativa L. / 胚乳 / 必須アミノ酸 / PPDK / PEPC |
Research Abstract |
1) 日・印交雑水稲F_2におけるアミノ酸含量 白米中のアミノ酸含量の品種間差異の試験において、インド型品種のGaiya Dhan Tosar(GDT)の玄米と白米の必須アミノ酸含量が日本型品種、コシヒカリの含量より有意に高いことが確かめられた。また玄米の必須アミノ酸含量と白米の必須アミノ酸含量は高い相関関係(r=0.981)にあることが明らかとなった。そこでコシヒカリとGDTの交雑を行い、F_2における遊離アミノ酸含量をPICO-TAG法により測定した。その結果F_2の必須アミノ酸含量は総じて高く、不足しがちなメチオニンやリジンの含量では、F_2の約70%の個体でGDTと同じかそれ以上の値を示し、この形質を日本型のコシヒカリに導入できる可能性が示唆された。 2) アミノ酸の合成に関係する遺伝子のクローニングと発現解析 必須アミノ酸のうち、リジンやメチオニンはアスパラギン酸から合成されるが、アスパラギン酸はグルタミンとオキサロ酢酸より合成される。そこでオキサロ酢酸に炭素骨格を補充する反応に関わるピルビン酸リン酸ジキナーゼ(PPDK)およびホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)遺伝子のcDNAをクローニングし、シークエンスを行い、他の種との相同性について検索するとともに、遺伝子の発現を解析した。いずれも登熟期の胚乳のmRNAより合成したcDNAであるが、全長のものは得られず、おのおの2.1および1.9kbであった。PPDKの遺伝子はすでにクローニングされていたイネ根由来のosppdkbと99%の相同生を示し、PEPCの遺伝子はトーモロコシのものと70%の相同生を示した。両酵素とも開花受精10日後から発現が強く現れ、登熟が進むにつれて低下した。これらのことからイネの登熟期には解糖系と連動してアミノ酸やタンパク質の合成が活発に行われていることが示唆される。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 崔海英、阿部利徳、笹原健夫: "水稲の日・印交雑のF2種子におけるアミノ酸含量の変動"育種学研究. 1別1. 152 (1999)
-
[Publications] イグスティR.S.、笹原健夫、阿部利徳: "イネ胚乳ピルビン酸リン酸ジキナーゼ (PPDK) 遺伝子のクローニングと発現解析"育種学研究. 1別1. 100 (1999)
-
[Publications] 崔海英、阿部利徳、笹原健夫: "水稲の日・印交雑後代胚乳の必須アミノ酸含量の変動"育種学研究. 1別2. 210 (1999)
-
[Publications] 阿部利徳、新山洋子、イグスティR.S.、笹原健夫: "イネ胚乳ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子のクローニングと発現解析"育種学研究. 1別2. 28 (1999)