2000 Fiscal Year Annual Research Report
水稲群落の低水温ストレスに対する生育・収量反応の解明とそのモデル化
Project/Area Number |
11460006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 利拡 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10228455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高牟禮 逸朗 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (90179557)
王 秀峰 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30301873)
大崎 満 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60168903)
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Keywords | 水温 / 発育ステージ / 水稲 / 乾物生産 / 日射利用効率 / 葉面積増加速度 |
Research Abstract |
本研究は,複数の生理過程を介して現れる水稲の低水温ストレスを,シミュレーションモデルによって体系的かつ定量的に解明することを目的とする.本年度は,水温が発育ステージおよび乾物生産に及ぼす影響を,過去3年間の冷水掛け流しによる水温処理試験の結果から解析した.供試品種は「きらら397」である.水温処理は3年とも栄養生長期に約20日間,生殖生長期に約30日間行った.処理水温は16〜24℃であった. 栄養生長期および生殖生長期の平均発育速度(発育日数の逆数)は,年次にかかわらず水温と直線的な関係を示したため,出穂までの発育指数(出芽を0,幼穂形成期を1,出穂期を2とする連続変数)の変化を水温の一次関数から簡便に推定することができた.水温は,主稈総葉数,幼穂長,稈長の増加速度にも大きく影響したが,その影響は主として発育速度の遅速に起因したものであった.したがって,主稈総葉数,幼穂長,稈長の推移を,発育指数〓非線形関数によって高い精度で推定することができた.異なる生育時期における冷水温処理が乾物生産に及ぼす影響を,葉面積,群落受光率,日射利用効率から解析したところ,水温は主として葉面積および群落受光率を通じて乾物生産に影響し,日射利用効率に対する水温の影響は小さいことが示唆された.また,穂孕み期頃までの相対葉面積増加速度は,出葉速度と密接な正の相関を示したことから,異なる水温条件における葉面積の増加速度を,発育指数と主稈葉数から定式化することができた.
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[Publications] 長谷川利拡: "Root cooling limits water uptake and growth in rice"Book of abstracts of the 3rd International Crop Science Congress 2000. 47 (2000)
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[Publications] 下野裕之: "Quantitative expression of developmental processes as a function of water temperature in rice (Oryza sativa L.) under a cool climate"Journal of the Graduate School of Agriculture, Hokkaido University. 70. 29-40 (2001)
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[Publications] 下野裕之: "Response of growth and grain yield to cool water at different stages in paddy rice."In Fukai,S.ed. "Increase in crop production for lowland rice in southeast Asia" ACIAR Proceedings, Canberra, Australia. (in press). (2001)