2000 Fiscal Year Annual Research Report
カキ属におけるアポミクシスの実証・誘発と倍数性育種への利用に関する研究
Project/Area Number |
11460011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉浦 明 京都大学, 農学研究科, 教授 (00026379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田尾 龍太郎 京都大学, 農学研究科, 講師 (10211997)
米森 敬三 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10111949)
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Keywords | アポミクシス / マメガキ / アメリカガキ / 栽培ガキ / 倍数性 / 6倍体 / 9倍体 |
Research Abstract |
1)昨年に引き続き、マメガキ(Diospyros lotus)2系統に対してマメガキ(2n=30)および栽培ガキ(2n=90)の花粉を受粉した試験では、いずれの系統も結実が劣ったが、昨年度は専ら単為結果した系統においてかなりの種子形成がみられた。その種子がアポミクシスによって生じたものかどうかを確認するために実生を育成中である。また、200-400Gyのγ線を照射したマメガキ花粉の発芽率は非照射花粉にくらべればやや低下したものの照射量間での差異はみられなかった。しかし、これらの花粉を受粉したものでもいずれも結実が不良であったために、花粉以外の要因が結実に影響したものと考えられた。いっぽう、アメリカガキ(D.virginiana)に自家および栽培ガキ花粉を受粉したところ、無受粉区や栽培ガキ受粉区でも少数ながら結実し、種子形成が認められたため、これらがアポミクシスによって生じたものかどうかをDNA分析によって確認するために実生を養成中である。 2)栽培ガキについて自然にアポミクシスが生じるかどうかをみるために、'富有'、'次郎'を含む12品種について8月上旬(開花後約2ケ月)に種子を採取して、完全種子(大)と不完全種子(小)に区分してin vitro培養し、発芽個体の倍数性をプロイデイアナライザーによって調査した。その結果、11品種では完全種子および不完全種子のいずれも全て6倍体であったが、'藤原御所'の完全種子の発芽7個体のうち1個体が9倍体であった。調査した個体数が少なかったにもかかわらず、6倍性品種の完全種子より9倍体個体が見つかったことは、アポミクシスによって生じた可能性が考えられ、さらに詳細な調査の必要性がある。 3)マメガキについて幼蕾期より開花期までの胚珠形成過程を組織学的に調査したところ、アポミクシスのタイプを確定しうるような明確な結果は得られなかったので、さらに手法を含めて再調査する必要があった。
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