2001 Fiscal Year Annual Research Report
果実の成熟エチレン生合成の内的調節機構に関する分子生物学的解析
Project/Area Number |
11460013
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
稲葉 昭次 岡山大学, 農学部, 教授 (90046491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 龍平 岡山大学, 農学部, 助手 (70294444)
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Keywords | 果実成熟 / エチレン / トマト / 信号伝達 / LE-FIL / EIN3 / 形質転換体 / アグロバクテリュウム |
Research Abstract |
エチレンの信号伝達系の中で、最も下流域を受け持っていると考えられている核蛋白質EIN3の形質転換体トマトを作出し、果実や葉のエチレン生合成について解析した。 1.形質転換には、昨年度までにクローニングした4つのLE-EIL遺伝子の中からEIL2を選び、pBII21バイナリーベクターのCAMV35Sプロモーターに下流にセンス方向に組み込み、アグロバクテリュウム法を用いてトマトAlisa Claigに導入した。 2.カナマイシンによる選抜培養の結果、15系統の個体を得た。導入された遺伝子のコピー数をサザンブロット分析により調べたところ、いずれの系統でも1から数コピーの外来遺伝子の導入が確認できた。 3.葉における発現解析の結果、15系統中で10系統にLE-EIL2の過剰発現が認められた。この内、3系統では葉が厚くなり、生育が劣っていたが果実の発育や成熟には影響がなかった。 4.これとは別に、果実の成熟が強く抑制される5系統を選抜し、エチレン生合成について解析した。その結果、これらの系統では野生型が成熟エチレンを生成する開花後30〜40日目でもエチレン生成は全く認められなかった。 5.これらの果実に対して外生エチレンを処理したところ、すぐには内生エチレンの誘導は起こらず、成熟誘導も見られなかった。しかし、処理後1週間などすると内生エチレンの生成が始まった。また、果実を樹体に長期間着生させておくと、エチレン生成が始まり部分的には成熟した。 6.以上のことから、センス方向に導入したEIL2遺伝子の形質転換トマトでは、導入遺伝子の過剰発現個体とコサプレッション個体が得られ、後者の果実ではエチレン生成の阻害による成熟抑制が見られ、成熟エチレン生合成の内的調節機構を解明するためのモデル的なトマトを作出することができ、当初の目的をほぼ達成することができた。
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