1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11460016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 眞理 九州大学, 農学部, 助教授 (60091394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野並 浩 愛媛大学, 農学部, 教授 (00211467)
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Keywords | ^1H-NMRスピン・格子緩和時間(T1) / 花の老化 / 水の動態 / トレハロース / グラジオラス(球根植物) / 膨圧 / 水分バランス / 水透過性 |
Research Abstract |
本研究では、非エチレン感受性の花であるグラジオラス花穂を用い、数種の少糖類、シクロへキシミドやPMSFなどタンパク合成阻害剤を用い、花弁の老化抑制に最も効果的な処理剤を検討した.その結果、0.1Mトレハロースの投与が老化抑制に最も効果的であることを明らかにした(Iwaya-Inoue et al.1999,Otsubo and Iwaya-Inoue2000)。開花直後から萎凋期までの4つの異なるステージにおいて、花弁組織の水の動態を調べるために^1H-NMR縦緩和時間(T1)を反転回復法により求め、成分分割および連続スペクトル解析を行った。また、組織化学的観察はTNBT法により行った.老化により、花弁は含水量や自由水量の減少、活性染色の低下などを伴った.また、チューリップでも同様の結果が得られ、さらに膨圧、水ポテンシャル、浸透ポテンシャルが著しく低下することが明らかになった(井上ほか1999)。このことから、含水量は自由水量に依存し、道管から周辺の細胞への水のとりこみ阻害により膨庄が低下し、含水率の低下を引き起こしている可能性が示唆された。さらに、老化に伴い、花弁のタンパク量の減少およびイオン漏出の増大を伴うことも明らかにした(大坪と井上1999)。トレハロースはこれらの現象をすべて抑制したことから、植物組織が水ストレスを受けた際に、水分子の変わりにトレハロースの構造上の特徴から生体膜の機能を守る「水分子置換仮説」をin vivoで支持する結果を得た。これらの結果については、園芸学会、日本植物学会、低温生物工学会で8件発表した。また、活性酸素生成が花弁の老化を促進することも知られていることから、基礎研究としてマメ科芽生え胚軸を用い、T1と活性酸素生成との関係についても検討した(Iwaya-Inoue et al.2000)。一方、葉やホウなどではトレハロースは阻害的に働く現象も認められたことから、培養細胞による水分生理学的研究を行った.ダイズ芽生え胚の培養細胞の生長においても阻害的に働き、細胞への水透過性の低下に依存することを明らかにした(Ikeda et al al.2000)
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Iwaya-Inoue,M., M.Otsubo and G.Watanabe: "Cellular water status in flower petals during senescence."Crybiology and Cryotechnology. 45・2(In press). (1999)
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[Publications] 大坪繭子、井上眞理: "グラジオラスの切り花の鮮度低下における水の動態変化"園芸学会雑誌. 67(別冊)・2. 452 (1999)
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[Publications] 井上眞理、高田睦美、戸田智子、大坪繭子、和田博史、福山寿雄、野並浩: "チューリップの切り花の品質低下過程における水分生理学的考察"園芸学会雑誌. 67(別冊)・2. 330 (1999)
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[Publications] Iwaya-Inoue,M.,K.Yoshimura,M.Otsubo and H.Yamasaki: "Effests of oxygen strees on H-NMR relaxation time (T1) of Vigna radiate seedlong."J.Fac.Agr.Kyusyu Univ.. 44・3,4. 249-256 (2000)
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[Publications] Otsubo M. and M. Iwaya-Inoue: "Trehalose delays senescence in cut gladiolus spikes."HortScience. (accepted). (2000)
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[Publications] Ikeda,T., M.Iwaya-Inoue, T.Fukuyama, and H.Nonami: "Trehalpse chages hydraulic conductance of tissue-cultured soybean embryos."Plant Biotechnology. (accepted). (2000)