2002 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の脳・中腸・生殖腺におけるインドールアミンN-アセチル転移酵素の構造と機能
Project/Area Number |
11460021
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
竹田 真木生 神戸大学, 自然科学研究科, 教授 (20171647)
|
Keywords | インドールアミン / セロトニン / メラトニン / N-アセチル転移酵素 / ワモンゴキブリ / 生物時計 / 細胞増殖 / 生殖腺成熟 |
Research Abstract |
インドールアミン代謝系(IAMP)が次の生理機能に関わることを明らかにした。1)ワモンゴキブリ(以下ゴキ)脳でNAT活性とメラトニン(ME)が、昼夜2山のリズムを示し、自由継続(FR)した。サクサン(以下ガ)ではMEは夜間に高い一山を示した。NAT活性も長日と低温処理による休眠覚醒に対応して増加した。この時、脳内のセロトニン(5HT)と血中エクダイソンも上昇した。時計-PTTHという光周性枢軸にIAMPが関わる可能性が示唆された。ガのNATと5HT受容体をクローニングした。飲水中のMEはコオロギの走行リズムの同期化を誘導した。2)中腸では飢餓と摂食で5HTが変動し、NAT活性とN-アセチル5HTが逆向きに変動する。飢餓ゴキの再摂食で5HTが増加した。飢餓ゴキに、摂食ゴキ体液を注射した時、及び5HTを注射した時に、中腸細胞のBrdU取り込みが促進された。鱗し目幼虫中腸幹細胞初代培養系で5HTが増殖を促進した。従って、IAMPは細胞増殖に関わると考えられる。3)ゴキ雌生殖腺付属腺のNAT活性を羽化後追跡した。トリプタミン(TN)と5HTでの活性変化の差から、TNが確認された。TNとN-アセチルTN注射は卵黄蛋白質取り込みを促進したので、IAMPは生殖調節にも関与するらしい。クサギカメムシでは、生殖腺のNAT活性が日長に対応して動くこと、雄の幼虫発育と脂質の蓄積についてMEが光周性に関わる可能性が示された。4)ゴキ中腸と生殖腺NATを完全精製し、等電点の違う2つのタイプを得たが(両者とも28kDa)、器官ごとに最適pHと活性レベルは特異性を示した。また基質親和性、基質結合様式、金属イオンの効果、高温安定性などから3つ以上の酵素の存在が示唆された。酸性活性型のNATの2つのペプチドフラグメントはクローニングした遺伝子が示すアミノ酸配列に一致した。ノーザン分析でも蛋白質に対応するバンドが得られ、中腸、雌生殖腺では昼と夜でmRNAの変動が示された。
|
-
[Publications] Makio Takeda: "Photoperiodic system in physiological reality"Entomological Science. Vol.2 No.4. 567-574 (1999)
-
[Publications] Naoyuki Ichihara: "Characterization and purification of polymorphic arylalkylamine N-acetyltransferase from the American cockroach, Periplaneta americana"Insect Biochemistry and Molecular Biology. Vol.32. 15-22 (2000)
-
[Publications] Hirotsugu Yamano: "Melatonin drinking water influences a circadian rhythm of locomotor activity in the house cricket, Acheta domesticus"Journal of Insect Physiology. Vol.47. 943-949 (2001)
-
[Publications] Masayuki Matsumoto: "Changes in brain monoamine contents in diapause pupae of Antheraea pernyi when activated under long-day and by chilling"Journal of Insect Physiology. Vol.48. 765-771 (2002)
-
[Publications] Hironobu Asano: Comparative Biochemistry and Physiology. (in press).
-
[Publications] 三橋 淳(編): "昆虫学大事典(5.10.2:神経伝達物質,竹田真木生)"朝倉書店. 1220 (2003)