2000 Fiscal Year Annual Research Report
多触媒中心酵素の生合成と構造・機能相関に基づく遺伝情報多重性の解析
Project/Area Number |
11460039
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 幸作 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (90142299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河井 重幸 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (00303909)
橋本 渉 京都大学, 食糧科学研究所, 助教授 (30273519)
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Keywords | スフィンゴモナス属細菌 / アルギン酸リアーゼ / 遺伝情報多重性 / プロテオーム / 遺伝情報量 / 多触媒中心酵素 / 翻訳後修飾 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
スフィンゴモナス属細菌(A1株)は、細胞質に多糖アルギン酸を低分子化する3種類の酵素(A1-I,A1-II,A1-III)を有する。これらの酵素分子種は、1遺伝子の情報に起因しており、前駆体Pから逐次プロセッシングを得て生成する(P→A1-I;A1-I→A1-II+A1-III)。その場合、新たな酵素部位の創出と顕著な機能の増幅を伴うことを明らかにしている。つまり、A1株のアルギン酸リアーゼ生合成経路では、タンパク質の構造変換による遺伝情報の加工と増幅が行われ、塩基配列で表現されている以上の遺伝情報が1遺伝子の中に埋め込まれていることを示唆している。そこで、この考え方を「遺伝情報の多重性」という概念で捉え、その証明を進めた。そのためには、タンパク質の構造がどのように変化するか、及びタンパク質の機能と構造がアミノ酸配列として如何に表現されているかを明らかにすることが不可欠である。そこで、A1-I、A1-II、A1-III及びA1-IIIと基質との複合体のX線結晶構造解析を進めた。硫安とポリエチレングリコール存在下で調製したA1-IとA1-IIの結晶は、各々単斜晶系P2_1及び立方晶系P4_32_12の空間群に属した。αバレル構造を基本骨格に持つA1-IIIについて、部位特異的、及び酵素/アルギン酸3糖の複合体のX線結晶構造解析を行い、その反応機構を解析した。A1-IIIのチロシン-246とヒスチジン-192がリアーゼ反応に必須であり、チロシン-246が基質アルギン酸のC5位のプロトンの引き抜きと切断部位へのプロトン供与の二役を担っていることを明らかにした。また、A1-IIIのN末端はリアーゼ活性発現に必須であることを確認し、40Lysを非極性アミノ酸であるアラニンに部位特異的変異で変換した変異酵素(K40A)は、大腸菌での発現で強固な封入体となったため、40Lys及びその近傍の構造が酵素のフォールディングに重要であることを明らかにした。以上の結果により、A1-Iの構造をA1-II及びA1-IIIの構造と比較することにより、1遺伝子の情報がタンパク質の構造変化によって加工・増幅されて伝達される詳細な分子機構を明らかにする基盤が整った。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hye-Jin Yoon: "Crystal structure of alginate lyase A1 - III complexed with trisaccharide product at 2.0 Å resolution"Journal of Molecular Biology. (印刷中). (2001)
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[Publications] Hye-Jin Yoon: "Effect of His192 mutation on the activity of alginate lyase A1 - III from Sphingomonas species A1"Journal of Microbiology and Biotechnology. (印刷中). (2001)
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[Publications] Wataru Hashimoto: "Polysaccharide lyase : molecular cloning, sequencing, and overexpression of the xanthan lyase gene of Bacillus sp. strain GL1"Applied and Environmental Microbiology. 67・2. 713-720 (2001)
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[Publications] Hye-Jin Yoon: "Crystallization and preliminary X - ray crystallographic analysis of alginate lvase A1 - II from Sphingomonas species A1"Biochimica et Biophysica Acta. 1476・2. 382-385 (2000)
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[Publications] Wataru Hashimoto: "Molecular identification of oligoalginate lyase of Sphingomonas sp. strain A1 as one of the enzymes required for complete depolymerization of alginate"Journal of Bacteriology. 182・16. 4572-4577 (2000)
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[Publications] Hye-Jin Yoon: "Overexpression in Escherichia coli, purification, and characterization of Sphingomonas sp. A1 alginate lyases"Protein Expression and Purification. 19・1. 84-90 (2000)
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[Publications] Wataru Hashimoto: "Biopolymers. Volume 7 : Polysaccharides I"Editor, Alexander Steinbuchel ; Publisher, Wiley - VCH(印刷中). (2001)