1999 Fiscal Year Annual Research Report
枯草菌プロテアーゼ生産におけるシグナル伝達とタンパク合成系の関与に関する研究
Project/Area Number |
11460050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田中 暉夫 東海大学, 海洋学部, 教授 (10236606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 光雄 東海大学, 海洋学部, 助教授 (80204163)
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Keywords | 枯草菌 / 二成分制御系 / 菌体外アルカリプロテアーゼ / Lincomycin / Erythromycin / aprE発現 / stringent factor |
Research Abstract |
枯草菌の二成分制御系因子の一つDegUは菌体外アルカリプロテアーゼ(aprE遺伝子産物)の生産およびコンピテンスの獲得という二つのプロセスに必須な因子である。我々はLincomycin、ErythromycinおよびChloramphenicolがhost cellの生育に影響を及ぼさない濃度で、特異的にaprE発現を阻害することを発見した。これらの薬剤は50Sに作用してタンパク合成を阻害する抗生物質であり、この発見はaprEの発現に至るシグナル伝達にタンパク合成系が関与していることを示唆し、タンパク合成系の役割の多様性を示すものである。一方、30Sリボソームに作用するStreptomycinやKanamycinはaprE-lacZfusionの発現に影響を与えないことが判明した。また、RNA合成やDNA合成に作用するRifampicinやMitomysin Cでも影響は検察されなかった。したがって、これらの事実は50SリボソームサブユニットがaprE発現に関与していることを示している。枯草菌による菌体外プロテアーゼの合成・分泌は、細胞内の窒素源やアミノ酸の飢餓に際して、菌体外に存在するタンパク源を分解・吸収するための手段であると考えられる。アミノ酸の飢餓に応答する因子は古くから大腸菌においてrelAが知られている。RelA(stringent factor)はppGppを合成し、飢餓に際して種々の細胞内の活動を抑制する。そこで、枯草菌CU741株のrelAを破壊しaprE-lacZfusionの発現を測定したところ、著しく減少していた。これらのことから、枯草菌のaprE発現にはstringent factorが関与しており、上記の抗生物質による阻害は50Sリボソームサブユニット上でのRelAによるppGppの合成を阻害することによってひきおこされると考えられる。
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