2001 Fiscal Year Annual Research Report
古細菌の対掌体型エーテル極性脂質のin vitro生合成
Project/Area Number |
11460051
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
古賀 洋介 産業医科大学, 医学部, 教授 (70012458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森井 宏幸 産業医科大学, 産業保健学部, 助手 (60141743)
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Keywords | エーテル脂質 / リン脂質生合成 / sn-グリセロール-1-リン酸 / アーキチジルセリンシンターゼ |
Research Abstract |
メタン生成古細菌Methanothermobacter thermoautotrophicusの無細胞抽出液中に昨年検出した、CDP-不飽和アーキオールとセリンからをアーキチジルセリン(AS)合成する活性をさらに詳細に検討した。この活性は膜画分に存在し、至適pH8.0、至適温度60℃で、1%Triton XlOOと5mMMn^<2+>を活性に必要とするが、KClは必要とせず、細胞内濃度の0.8Mでは約30%阻害する。この反応の生成物を薄層クロマトグラフィー、化学分析、FAB-マススペクトルなどでASであることを確認した。次に、化学合成したCDP-不飽和アーキオールの類似物(炭化水素鎖が完全飽和されたもの、炭化水素鎖を直鎖脂肪酸にしたもの、エーテル結合をエステル結合としたもの、グリセロリン酸骨格をG-3-P型にしたもの)を用いてASシンターゼの基質特異性を調べた。ASシンターゼはこれらのいずれの基質とも反応し、広い基質特異性を示すことが明らかになった。同じ基質を用いてBacillus subtilisおよびEscherichia coliの無細胞抽出液中のホスファチジルセリンシンターゼの基質特異性を測定したところ、B. subtilisの場合はM. thermoautotrophicusと類似の広い特異性を示したが、E. coliの場合は立体構造はG-3-P、炭化水素鎖は脂肪酸を認識していることが明らかになった。全ゲノム配列の発表されている古細菌のいくつか(M. thermoautotrophicusを含む)において、B. subtilisのPSシンターゼ遺伝子とホモロジーのある遺伝子が検出され、おそらくそれはASシンターゼであると思われる。しかし、E. coliのPSシンターゼ遺伝子とホモロジーのある遺伝子が検出されなかった。これらのことから古細菌のASシンターゼはBacillus型のpss遺伝子と共通の祖先を有するものと推定された。
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