1999 Fiscal Year Annual Research Report
甲殻類の血糖上昇ホルモン族ペプチドの大量発現と立体構造解析
Project/Area Number |
11460054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長澤 寛道 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60134508)
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Keywords | 甲殻類 / クルマエビ / 神経ペプチド / 脱皮抑制ホルモン / ジスルフィド結合 / 立体構造 / 血糖上昇ホルモン / 組み換え体ペプチド |
Research Abstract |
甲殻類の眼柄内に存在するX器官/サイナス腺系で合成、分泌される神経ペプチドのなかには、血糖上昇ホルモン(CHH)族ペプチドと呼ばれるアミノ酸配列の類似した数種のペプチド(アミノ酸残基数72-78)が存在し、糖代謝、脱皮調節、卵黄形成調節などの重要な生理過程を制御している。われわれはこれまでにクルマエビから7分子種のCHH族ペプチドを同定し、そのうち6分子種のcDNAをクローニングした。それらは、活性から血糖上昇活性を有するペプチドと脱皮抑制活性を有するペプチドに分類される。しかし、構造と活性の関係は一次構造の比較からだけでは説明できない。そこで、立体構造のレベルでの違いを明らかにすることを目的とした。まず、大腸菌発現系を利用してCHH族ペプチドの一つである脱皮抑制ホルモン(MIH)を合成した。この分子は活性を示さなかったので、リフォールディング反応により活性型に変換し、高速液体クロマトグラフィーにより精製した。収量は培養液1リットルあたり約1mgであった。約10mgの合成品を得、40%酢酸中で予備的に核磁気共鳴スペクトル(NOESY)を測定したところ、α-ヘリックスに富むことが示唆された。しかし、このスペクトルから不純物が含まれることが示されたので、このままでは解析ができず、現在精製法について検討中である。 このMIH分子内には3対のジスルフィド結合が存在することが推定されているが、実験的に決定されていない。この情報は、立体構造を解析する際に重要であることから、現在、合成MIHをトリプシン消化し、そこから得られるペプチド断片について構造解析を行うことによって架橋様式を決定することを試みている。
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Research Products
(1 results)