1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11460055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
磯部 稔 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (00023466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 善康 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (60193439)
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Keywords | フグ毒 / テトロドトキシン / シガテラ毒 / シガトキシン / 糖アセチレン / デオキシテトロドトキシン / アセチレンコバルト錯体 / 中員環エーテル |
Research Abstract |
多く見受けられる多酸素化天然有機化合物には、重要な生理活性を持つものが多い。例えば、フグ毒のテトロドトキシンやシガテラ毒のシガトキシンはきわめて微量で効果を示すことで有名である。この研究では、食品衛生学的に重要なこのクラスの化合物を化学的により深く理解するために、その物質の立体制御合成を目指すものである。これまで確立してきた糖質を出発原料として、その炭素源および光学活性を確保する手法を展開した。糖質にシリルアセチレンを付加して選択的にアルファ型の糖アセチレンとしたあと、必要に応じてベーター型に異性化する方法、アセチレンから炭素鎖を伸延する方法、コバルトやパラジウム触媒を用いて、立体選択的に官能基化する方法を開発した。これらを実際に、テトロドトキシン母核合成と、水酸基あるいは窒素原子の立体選択的導入に活用し、最終的には環状グアニジニウムとラクトンを含むデオキシ型テトロドトキシンの合成に成功した。また、糖アセチレンから炭素鎖を伸ばした後アセチレンコバルト錯体として、その後7、8、9という中員環のエーテル結合合成に発展させ、これをシガトキシンのABC環、DEFG環、HIJK環などの合成を完成させた。特に、K環の合成ではLM環に必要な炭素原子や官能基を一気に持ち込む手法を立体選択的に確立することができた。これらの手法をまとめると、エーテル環の形成反応が終了したときには、次の合成段階の準備ができ上がるような手順を考案して、syn/transという立体化学を高選択的に合成することができるようになった。コンフォーメーションの予想も計算機化学を用いて論理的にできるようになった。来年度は、天然物の全合成を目指す。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Hosokawa,S. et al.: "Mirror Image Synthesis of The Left Ends of Ciguatoxin and Gambiertoxin 4b."J. Org. Chem.. 64. 37-48 (1999)
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[Publications] Nishikawa,T. et al.: "Palladium Catalyzed Substitution Reaction of Allylic Derivatives with Tinacetylene."Biosci. Biotech. Biochem.. 63. 238-242 (1999)
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[Publications] Nishikawa,T. et al.: "New Synthetic Route of Guanidine from Trichloroacetamide for Tetrodotoxin and Its Related Compounds."Tetrahedron. 55. 4325-4340 (1999)
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[Publications] Saeeng,R. et al.: "Partial synthesis of Ciguatoxin (5R)-ABC Segment."Tetrahedron Lett.. 40. 1911-1914 (1999)
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[Publications] Nishikawa,T. et al.: "Stereocontrolled Synthesis of (-)-5,11-Dideoxytetrodotoxin,"Angewandte Chemi. Int. Ed.. 111. 3268-3271 (1999)
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[Publications] Isobe,M. et al.: "Hydrosilylation of Acetylenes with Catalytic Biscobalthexacarbonyl Complex and Its Application to Heteroconjugate Addition Methodology."Tetrahedron Lett.. 40. 6927-6932 (1999)
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[Publications] 磯部 稔: "アセチレンコバルト錯体を利用した化学合成研究(1)"有機合成化学協会. 8 (2000)
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[Publications] 磯部 稔: "アセチレンコバルト錯体を利用した化学合成研究(2)"有機合成化学協会. 9 (2000)