2001 Fiscal Year Annual Research Report
がんの増殖・浸潤・転移および高脂血症に対する果実成分の作用解析
Project/Area Number |
11460058
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Research Institution | TOKYO UNIVERSITY OF AGRICULTURE AND TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
矢ケ崎 一三 東京農工大学, 農学部, 教授 (20166474)
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Keywords | 肝癌細胞 / 癌転移 / 癌浸潤 / 癌性高脂血症 / レスベラトロール |
Research Abstract |
がん細胞は無限増殖性と転移性という生物学特性を有する。複雑ながん転移過程の中で、浸潤過程は重要かつ特徴的ステップである。モデルがん細胞としてラット由来腹水肝癌AH109Aを選び、細胞培養系で増殖能と浸潤能検定系を構築し、ブドウ果皮に多いレスベラトロール(Rv)の作用を検討した。担癌宿主には、しばしばがん性悪液質としての高脂血症が発生するので、これに対するRvの作用も検討した。 増殖能と浸潤能検定系にRvを直接添加すると、増殖能は50μMまでは影響を受けなかったが、それ以上の濃度(〜200μM)では用量依存的に抑制された。一方、浸潤能は25μMから用量依存的に抑制された。Rvを経口投与後、経時的に血清を調製し、これを検定系の牛血清のかわりに添加すると、増殖抑制能が消失したが、浸潤は有意に抑制され、投与1時間後の血清が最大の抑制効果を示した。そこで、Rvの投与量をかえて1時間後に得られた血清につき用量-作用反応を検討したところ、浸潤は用量依存的に抑制された。次に、Rvの浸潤抑制機構を検討した。肝癌細胞を活性酸素発生系にさらすと、浸潤能が亢進することを見いだした。細胞を活性酸素に曝すとき、RvそのものあるいはRv投与後血清が共存するとこの亢進は起こらず、Rvの活性酸素捕捉能が浸潤抑制に関与していることが示唆された。このことは、細胞内活性酸素量をFACSにて解析した結果からも支持された。Rvはcyclooxygenaseを阻害することによりプロスタグランジン(PG)産生を抑制する。Rvで浸潤を抑制しているところにPGE_2を添加するとこの抑制が解除されたので、PG産生抑制を介するRvの浸潤抑制機構も考えられた。 担肝癌ラットの血清脂質におよぼすRv投与の影響を検討した。飼料中の添加量が低容量(10, 50ppm)のときには血清脂質(コレステロール、トリグリセリド、過酸化脂質)濃度が低下するが、高用量(100ppm)ではむしろ効果がなくなった。
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[Publications] Y.Kozuki, Y.Miura, K.Yagasaki: "Resveratrol suppresses hepatoma cell invasion indepedently of its anti-proliferative activity"Cancer Lett., 167(2), 151-156, 2001.. 167(2). 151-156 (2001)
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[Publications] Y.Kozuki, Y.Miura, K.Yagasaki: "Suppression of hepatoma cell invasion in culture by resveratrol and its modes of action"Animal Cell Technology: Basic & Applied Aspects. 12. 389-393 (2001)
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[Publications] Y.Kozuki, Y.Miura, K.Yagasaki: "Inhibitory effect of resveratrol, 3, 5, 4'-trihydroxy-trans-stilbene, on the proliferation and invasion of hepatoma cells in culuture"Polyphenol Communications 2000. 2. 369-370 (2000)
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[Publications] 矢ケ崎 一三, 三浦 豊: "食品機能と抗がん作用"臨床栄養、97(7), 831-839, 2000.. 97(7). 831-839 (2000)
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[Publications] 矢ケ崎 一三: "天然色素・ポリフェノール類の食理学"FFIジャーナル、No.195, 7-12, 2001.. 197. 7-12 (2001)
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[Publications] 矢ケ崎 一三: "アミノ酸とくに非必須アミノ酸の薬理作用"臨床栄養、100(2), 161-166, 2002.. 100(2). 161-166 (2002)