2001 Fiscal Year Annual Research Report
食餌性因子によるピルビン酸キナーゼの活性と遺伝子発現の制御
Project/Area Number |
11460059
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野口 民夫 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (70135721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 一哉 福井医科大学, 医学部, 助教授 (20263238)
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Keywords | ピルビン酸キナーゼ / 転写制御 / インスリンシグナル伝達 / 酸化ストレス / インスリン / グルコース制御 |
Research Abstract |
1、肝臓におけるL型ピルビン酸キナーゼ(PK)遺伝子の転写はエンハンサーユニットを介してインスリン/グルコースにより促進される。このユニットを構成するLI IIが直接の応答領域であるが、LI IIに結合する転写因子をイーストワンハイブリドシステムを用いて、肝cDNAライブラリーから同定した。シークエンスの結果、この因子はSHARP2と同一であることが判明した。現在、その機能を解析中であるが、SHARP2は高グルコース食により肝臓で誘導されることを見いだしている。 2、3T3-L1脂肪細胞でのPKM遺伝子の発現はインスリンで促進されるが、この時のインスリンシグナル伝達経路を種々の阻害剤を用いて検討した。インスリンの効果はPI-3キナーゼ阻害剤のワートマンニンやMAPKK阻害剤のPD98059によって40〜60%抑制され、両阻害剤の同時処理によりほぼ完全に阻害された。mTOR/FRAP阻害剤のラパマイシンは90%程度抑制したが、プロテインホスファターゼ1と2A阻害剤のオカダ酸は逆にインスリン作用を増強した。したがって、PKM遺伝子発現に及ぼすインスリンの効果はPI-3キナーゼとMAPKKの両方の経路が関与していること、セリン・スレオニン残基のリン酸化がより重要であることが示唆された。PKM遺伝子のインスリン応答性領域の一部は-2.2kまでの間に存在することが示唆されたが、これだけでPKM遺伝子のインスリンによる発現の促進は説明できなかった。 3、肝がん細胞のM_2型PKの酵素活性が酸化ストレス条件下で変化するかどうかを検討するために、dRLh84細胞をferricyanideで処理しM_2型PK活性を測定したが、アロステリックエフェクターの存在、非存在下で活性の変化は認められなかった。
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[Publications] Fukuda, H.: "Transcriptional regulation of insulin receptor gene promoter in rat hepatocytes"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 280・5. 1274-1278 (2001)
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[Publications] 山田 一哉: "転写因子Sterol Regulatory Element-Binding Protein(SREBP)と糖質・脂質代謝"日本栄養・食糧学会誌. 55・1. 45-50 (2002)