2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11460060
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
今泉 勝己 九州大学, 農学研究院, 教授 (90037466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 匡央 九州大学, 農学研究院, 助手 (90294909)
池田 郁男 九州大学, 農学研究院, 助教授 (40136544)
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Keywords | 酸化ステロール / 動脈硬化 / GC-MS / アポE-欠損マウス / 大動脈 / 吸収 |
Research Abstract |
前年度,酸化ステロールをGC-MSを用いて分析する方法を確立した.この方法を用いて,アポE欠損マウスとその野生型であるC57BL/6マウスの血清,肝臓及び動脈の酸化ステロールを分析し,アポE欠損マウスはその野生型と比較して,血清並びに動脈に多量の酸化ステロールが沈着していることを明らかにした.また,コレステロール酸化物を調製してアポE欠損マウスに給餌すると,血清と肝臓にコレステロール酸化物が蓄積すること,しかし,動脈へのその蓄積は僅かであることを観察した.本年度は,コレステロール酸化物のリンパへの輸送を胸管リンパカニュウレーションラットを用いて検討するとともに,食用油脂の摂取と動脈におけるコレステロール酸化物着との関係ならびに植物ステロール酸化物の吸収について検討した.その結果,コレステロール酸化物は,摂食後6時間でいずれもリンパ液中で回収されること,特に,α-エポキシコレステロールの回収率はコレステロールにほぼ匹敵し,次いで,7-ケトコレステロール,コレステタントリオール,7β-,7α-ヒドロキシコレステロールの順に回収されることを明らかにした.これらの結果から,食事に含まれるコレステロール酸化物は程度の差はあるがいずれも吸収され,体内へ輸送されることが実証された.一方,摂取油脂の違い(リノール酸およびα-リノレン酸に富む油脂)は動脈における酸化ステロールの沈着量に影響しなかった.食品中には植物ステロール酸化物が含まれることから,代表的な植物ステロールであるβ-シトステロールとカンペステロールの酸化物を有機合成し,それらの吸収・輸送ならびに動脈硬化への影響について現在検討中である.
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[Publications] Adan et al: "Concentration of serum lipids and aortic lesion size in female and male apo E-deficiet mice fed docosahexaenoic acid."Biosci.Biotech.Biochem.. 63. 309-313 (1999)
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[Publications] 津田 ら: "アポE欠損マウスの動脈硬化病変の進展に及ぼす食事米タンパク質の影響"必須アミノ酸研究. 155. 14-17 (2000)
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[Publications] 津田 ら: "アルギニンに富む植物性タンパク質の抗動脈硬化作用"必須アミノ酸研究. 158. 74-77 (2000)
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[Publications] Carvajal et al: "Positional distribution of medium chain fatty acid in dietary synthetic triacylglycerol on lymphatic lipid transport and chemical composition of chylomicrons in rats........"Lipids. 35. 1345-1351 (2000)
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[Publications] Imaizumi et al: "Role of dietary lipids in arteriosclerosis in experimental animals"Bio Factors. 13. 25-28 (2000)
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[Publications] 安藤 ら: "アポE欠損マウスにおけるコレステロール酸化物の吸収・輸送と動脈硬化の進展に及ぼす影響"脂質生化学研究. 42. 275-278 (2000)