1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11460070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伊藤 進一郎 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (90092139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶村 恒 名古屋大学, 農学部, 助手 (10283425)
万木 豊 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20127004)
武田 明正 三重大学, 生物資源学部, 教授 (70024578)
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Keywords | 集団枯死 / ナラ類 / カシノナガキクイムシ / 水ポテンシャル / 菌類 |
Research Abstract |
菌類とカシノナガキクイムシとの相互作用の解明:各地の被害発生地から被害材を採集し、材に穿入するキクイムシ類を調べた。その結果、カシノナガキクイムシが全ての被害材から検出され、その他のキクイムシ類はわずかであった。このことから、ナラ類の枯死被害発生には、カシノナガキクイムシが密接に関与していると考えられた。また被害に関連する菌類の探索を行った結果、いずれの被害材からも特定の菌(未同定のためナラ菌と仮称)が優先的に分離された。ナラ菌は、カシノナガキクイムシの幼虫、蛹、成虫体表からも優先的に分離され、さらにカシノナガキクイムシの胞子貯蔵器官からも検出された。これらのことから、ナラ類の枯死被害発生にはナラ菌とカシノナガキクイムシが密接に関与しており、ナラ菌はカシノナガキクイムシによって伝播されている可能性が示唆された。 ナラ類の水分生理特性の解明:被害発生地では、ナラ類は夏期に急激に萎凋・枯死するため、ナラ類の辺材部に通水阻害が起こっている可能性がある。そこで、カシノナガキクイムシの加害から枯死に至る過程の水ポテンシャルの変化を調べた。その結果、カシノナガキクイムシの加害に伴って水ポテンシャルの値が急激に低下することが明らかとなった。また分離されたナラ菌を用い、健全なコナラとクヌギに対して接種試験を行った結果、接種1〜2週間後には水ポテンシャルの値が急激に低下することがわかった。今回の接種試験では最終的には枯死には至らなかったが、接種2週間以降にコナラ・クヌギともに枝葉に萎凋現象が認められた。これらのことから、ナラ菌の接種によって辺材部に通水阻害が発生していることが示唆された。 1999年9月、今まで被害の発生がなかった本州太平洋側(紀伊半島)で被害発生を確認した。この地域では、ナラ類のほかにシイ類・カシ類にも被害が発生していることがわかった。来年度は、この地域も調査対象地としたい。
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Research Products
(2 results)