1999 Fiscal Year Annual Research Report
高CO_2環境制御下に生育する樹木の肥大成長と細胞壁構造に関する研究
Project/Area Number |
11460076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
船田 良 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20192734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 裕 北海道大学, 大学院・農学研究科, 講師 (50281796)
佐野 雄三 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (90226043)
小池 孝良 北海道大学, 農学部・附属演習林, 教授 (10270919)
丸山 温 森林総合研究所, 北海道支所・樹木生理研究室, 室長
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Keywords | 高CO_2環境 / カラマツ / 成長 / 細胞形態 / 細胞壁構造 |
Research Abstract |
近い将来に大気中のCO_2濃度が上昇し、それに伴い地球温暖化現象が起こることが予測されている。そこで、大気中CO_2濃度が樹木の成長や木部細胞の形態・細胞壁構造に与える影響を明らかにする目的で以下の研究を行った。供試木は落葉針葉樹であるシベリア産カラマツを用いた。苗木をポットに植栽し自然光利用型生物環境調節装置内で生育させた。CO_2濃度は現在の大気濃度条件(360ppm)とその2倍の高濃度条件(720ppm)の2段階に、土壌栄養条件は施肥多量条件と少量条件の2段階に設定し、生育条件はその組み合わせの4条件とした。気温は一定条件とし、また、日長時間も補光により一定時間とした。主に、樹高成長、肥大成長、仮道管の形状、仮道管細胞壁の構造について解析した。 CO_2濃度条件は、樹高や樹幹の直径成長に有為な影響を及ぼさなかった。一方、施肥多量条件は樹高や樹幹直径成長を増加させ、またこの増加は高CO_2濃度条件で促進された。樹木の形状を表す樹高と樹幹直径の比(樹高/樹幹直径)は、高CO_2濃度と施肥多量条件の組み合わせで最も低い値を示した。乾重量は施肥多量条件で促進されたが、CO_2濃度条件は有為な影響を及ぼさなかった。これらの結果は、高CO_2濃度条件の樹木の伸長成長や肥大成長への影響は土壌栄養条件に依存していることを示しており、充分に養分が与えられた場合に高CO_2濃度条件は成長を促進させるといえる。施肥多量条件で、細胞壁の厚さは有意に薄くなり、また仮道管の内こう径が増加する傾向を示した。一方、CO_2濃度条件は仮道管直径、細胞壁厚、仮道管の内こう径に有為な影響影響を及ぼさなかった。大気中CO_2濃度の影響は複数年の負荷で現れる可能性が高いので、来年度以降も解析も続けることが重要である。
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