2000 Fiscal Year Annual Research Report
新生産系と再生生産系における資源変動の比較生態学的研究
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11460086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 良朗 東京大学, 海洋研究所, 教授 (90280958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猿渡 敏郎 東京大学, 海洋研究所, 助手 (00215899)
松田 裕之 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70190478)
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Keywords | ニシン / キビナゴ / 加入量変動 / 亜熱帯海域 / 亜寒帯海域 |
Research Abstract |
1.1998年に孵化して岩手県宮古湾内で成長したニシンの天然稚魚(体長5〜8cm)と、同じ年に人工種苗生産された後に湾内に放流された稚魚について、耳石日輪に基づく成長解析を行った結果、天然稚魚の成長が湾内放流後の人工稚魚の成長を大きく上回ることが分かった。 2.1999年9月から岩手県宮古湾内の物理,生物環境調査を毎月1回の割合で継続した結果、湾奥におけるニシンの餌生物は3〜4月に密度が高く5月以降大きく低下すること、水温は2月以降連続的に上昇することが分かった。 3.人工種苗生産され、2000年4月に放流された稚魚と5月に放流されたニシン稚魚の成長を比較したところ、餌料密度が低いが水温が高い5月に放流された稚魚の方が成長が速かった。 4.串本周辺海域におけるキビナゴの成長を耳石日輪に基づいて解析した結果、孵化後約3ヶ月で初回成熟体長60mmに達すること、孵化後1年で最大体長の100mmに達することが分かった。 5.キビナゴ卵巣の組織学検査から、産卵期は3月〜9月の7ヶ月にわたること、産卵期前半に生まれた仔魚は、産卵期後半には成熟して産卵する可能性があることが分かった。 6.ニシン科魚類の繁殖生態と資源変動に関するシンポジウムを行い、ニシン、ウルメイワシ、コノシロ、サッパ、キビナゴについての知見を総括した。
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[Publications] Watanabe,Y.,N.Shirahuji,M.Chimura.: "Latitudinal in difference in recruitment dynamics of clupeid fishes-variable to the north, stable to the south-proceedings of the International Herring Symposium"Alaska Sea Grant College Program, Report. 2001-01. (2001)
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[Publications] Takahashi,M.,Y.Watanabe,T.Kinoshita,C.Watanabe.: "Growth of larval and juvenile Japanese anchovy, Engraulis japonicas, in the Kuroshio-Pyashio trasition region"Fisheries Oceanography. 10. (2001)
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[Publications] 渡邊良朗: "ニシン科魚類の資源変動様式の南北差"月刊海洋. 33(4). 215-218 (2001)
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[Publications] 大河内裕之,千村昌之: "宮古湾に放流した人工生産ニシンの生態と産卵回帰"月刊海洋. 33(4). 252-258 (2001)
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[Publications] 白藤徳夫,武田保幸: "串本周辺海域におけるキビナゴの生態"281-285 (2001)