2000 Fiscal Year Annual Research Report
魚類比較ゲノムマッピングによる水産遺伝育種の基盤研究
Project/Area Number |
11460088
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
岡本 信明 東京水産大学, 水産学部, 教授 (40114912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敬典 水産庁, 養殖研究所, 主任研究員
関 伸吾 高知大学, 農学部, 助教授 (20216518)
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Keywords | ゲノム / マイクロサテライトマーカー / ヒラメ / ニジマス / 遺伝子地図 / リンケージマツプ |
Research Abstract |
ゲノム情報・技術を用いた水産遺伝育種の基盤を早急に確立する必要があるが、増養殖対象魚種は多種に亘っているため、それらの遺伝育種を効率よく行う方法の開発が求められている。そこで、DNAマーカーを用いた比較ゲノムマップの利用に着眼し、その基盤を確立しようとするのが本研究である。本年度は、(1)昨年度ヒラメから単離したマイクロサテライトマーカーの使用範囲を、マダイ、ブリ、ホシガレイ、マツカワ、シマアジ、アカカマダイ、トラフグ、ニシン、ニジマスで調べ、ホシガレイ、シマアジ、マツカワ、ブリ、マダイでは12種類のマーカーのうち、50%以上が利用可能であることがわかったが、トラフグ、ニシン、ニジマスでは利用できなかった。(2)ニジマスで単離されたマイクロサテライトマーカーが近縁種であるギンザケ、イワナ、アマゴ、ヤマメ、カワマスで使用可能かどうかを調べ、これらすべてにおいて多型の検出が可能であり、近縁種への有用性が示された。(3)完成したヒラメ遺伝子地図には、約120のマイクロサテライトと約350のAFLPマーカーの位置が決められている。雄と雌では、減数分裂時の組換え率の相違を反映して、マーカー間の遺伝的距離は異なり、遺伝子地図としては、2種類が作製できた。雄の遺伝子地図は25の遺伝子連鎖群からなり、マーカー間の距離が平均8cM(センチモルガン)、総計で741.1cMをカバーした。一方、雌の遺伝子地図は27の遺伝子連鎖群からなり、マーカー間の距離は平均6.6cM、総計で670.4cMをカバーした。雄と雌の遺伝子地図が比較可能な遺伝子連鎖群を解析した結果、雄の組換え率は雌のそれよりも大きく、その比は7.6:1であった。魚類を含め多くの生物では、雄よりも雌の方が組み替え率か高いことが知られており、この知見は、興味有るものである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.R.M.Coimbra: "Four microsatellite markers in the Japanese flounder, Paralichthys olivaceus."Animal Genetics. 31. 72-73 (2000)
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[Publications] M.R.M.Coimbra: "Poli-RC35-TUF, a highly polymorphic microsatellite marker in the Japanese flounder, Paralichthys olivaceus."Journal of Animal Science. 78. 1690 (2000)
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[Publications] Akiyuki Ozaki: "Quantitativetrait loci (QTLs) associated with resistance/susceptibility of unfectious pancreatic necrosis (IPN) in rainbow trout."Molecular and General Genetics. (2001)
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[Publications] M.R.M.Coimbra: "Twenty microsatellite markers from the Japanese flounder,Paralichthys olivaceus."Fiseries Science. 67. (2001)
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[Publications] 坂本崇: "ニジマスマイクロサテライトマーカーを用いた連鎖地図の作成とそれを用いたQTL解析"蛋白質・核酸・酵素. 45. 206-213 (2000)