1999 Fiscal Year Annual Research Report
魚類耳石の微量元素特性および酸素同位体比による回遊履歴の解明
Project/Area Number |
11460089
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
大竹 二雄 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20160525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比屋根 肇 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70192292)
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Keywords | 魚類 / 耳石 / 微量元素特性 / 酸素同位体比 / 回遊履歴 |
Research Abstract |
【シラスウナギの耳石酸素同位体比組成による産卵場所の推定】三重県五十鈴川河口に来遊したシラスウナギの耳石を用いて、SIMS(二次イオン質量分析法)による酸素同位体局所分析を行った。親ウナギの成熟と産卵における水温環境を反映していると考えられる耳石核を含む中心部分の酸素同位体比(^<16>O/^<18>Ox10^3)(2.0170)と中心部以外の分岐点(レプトケファルス期に形成された耳石部分)の酸素同位体比(平均2.0156±0.0044)との間に大きな違いはなかった。このことは親ウナギの成熟や産卵の水温環境がレプトケファルスの水温環境とほぼ同様であることを示唆している。すなわり産卵水温は20℃程度であり、産卵場付近での親ウナギの生息水深は400m以浅である可能性が高いと思われる。 【アユの耳石 Sr:Ca比による回遊履歴の推定】耳石 Sr:Ca比から三重県宮川を流下して海に入ったアユ仔魚の回遊履歴を推定した。アユ仔魚は流下後砕波帯を主要な生息域としながら70日齢(体長25mm)頃から徐々に河口域に分布重心を移し、150〜200日齢(体長100mm以上)から淡水域への遡上を始めることが明らかになった。また淡水域に遡上せずに河口域に留まると考えられる個体も存在することがわかった。さらに回遊履歴から宮川におけるアユ産卵魚について天然遡上アユと放流アユとの判別を試みた。海洋生活期と淡水生活期におけるアユの耳石Sr:Ca比(耳石中心から100μmの部分の平均比)はそれぞれ6.92±0.83と0.98±0.20であり、これを指標にして天然遡上アユと放流アユとを明確に判別できることが明らかになった。これより宮川においては放流アユは天然遡上アユに比べて成熟が早く、産卵期の初期(10月初旬)にのみ産卵に加わることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大竹二雄: "ウナギ仔魚の変態と回遊"月刊海洋/号外. 18. 46-52 (1999)
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[Publications] Arai Takaomi: "Differences in the early life history of the Australian shortfinned eel.Anguilla australis from Australia and New Zealand,as revealed by otolith microstructure and microchemistry"Marine Biology. 135. 381-389 (1999)
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[Publications] Arai Takaomi: "Diversity of tropical anguillid eels : early life history and migration"Proceeding of 9^<th> LIPI-JSPS Joint Seminar on Marine and Fisheries Science. 215-228 (1999)
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[Publications] Arai Takaomi: "Metamorphosis and inshore migration of tropical eels,Anguilla spp.,in the Indo-pacific"Marine Ecology Progress Series. 182. 283-293 (1999)
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[Publications] Arai Takaomi: "Early life history and recruitment of the tropical eel Anguilla bicolor pacifica,as revealed by otolith microstructure and microchemistry"Marine Biology. 133. 319-326 (1999)