2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11460096
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Research Institution | TOKYO UNIVERSITY OF FISHERIES |
Principal Investigator |
木村 茂 東京水産大学, 水産学部, 教授 (10017056)
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Keywords | 魚類 / I型コラーゲン / cDNA / サブユニット / 全一次構造 / プロコラーゲン / ニジマス |
Research Abstract |
昨年度はニジマス繊維芽細胞由来のcDNAライブラリーを用いて、硬骨魚類に固有のI型コラーゲンプロα3鎖の全一次構造を決定した。そこで、最終年にあたる本年度は昨年度と同様の方法により、残るブロα1鎖とプロα2鎖のcDNAをクローニングしてI型コラーゲンの全一次構造の解析を行った。 その結果、プロα1,プロα2,およびプロα3は各々1449,1356,および1458アミノ酸残基から成り、三重らせん領域に特有のGly-X-Yの繰り返し配列はヒトと同じ338回が認められた。Nプロペプチドにおけるシステインに富む領域はプロα1とプロα3に存在するが、プロα2には認められなかった。また、繊維構造の形成および安定性の保持に関与する架橋付近の配列は極めて良く保存されていた。高等脊椎動物に比べてニジマスでは、各α鎖のGly-Glyの繰り返し配列が多く存在するという特徴的を持ち、一方、熱安定性を付与するGly-Pro-Pro配列は少なかった。特に、Gly-Gly配列はプロα3に著しく富み、三重らせん領域にはヒトに比べて、12倍以上の繰り返しが認められた。これらの特徴はニジマスI型コラーゲンの示す低い熱安定性に大きく影響していると考えられる。 ニジマスの各プロα鎖間において、プロα3はプロα1およびプロα2と各々73%および56%の相同性を示した。また、ニジマスI型コラーゲンとヒトの繊維性コラーゲンの配列を用いて近隣結合法によって系統樹を作成したところ、硬骨魚類に特有のα3鎖はα1鎖から分岐したことが強く示唆された。本研究は魚類I型コラーゲンの全一次構造を明らかにした世界で最初のものであり、今後における魚類コラーゲンの代謝、機能などの研究に多大の寄与するものと期待される。
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