1999 Fiscal Year Annual Research Report
山地畜産を軸とした環境保全型アグロフォレストリ・システムの確立
Project/Area Number |
11460103
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
飯国 芳明 高知大学, 人文学部, 教授 (40184337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 佳孝 農林水産省, 中国農業試験場・畜産部, 主任研究官
新保 輝幸 高知大学, 人文学部, 助教授 (60274354)
櫻井 克年 高知大学, 農学部, 教授 (90192088)
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Keywords | 山地畜産 / 草原 / 仮想旅行費用法 / 生物多様性 / 低分子有機酸 / 土壌微生物 |
Research Abstract |
本年度の研究は、三瓶地域を主たるフィールドとして展開した。まず、土地利用の変遷とそれに伴う草地の衰退過程を昭和初期から整理するとともに、国有林管理の現状および国立公園管理のシステムを検討した。分析から、戦後の急速な草地の減少と国有林移管にともなう植林地の急増の過程があきらかになった。また、国立公園内の二次的自然を維持するためには、新たな制度的枠組みが必要性であると考えられた。 外部経済分析においては、草原化した三瓶山のレクリエーション地としての総体的な価値を経済評価した。そのために、仮想旅行費用法という新たな分析方法を開発し適用した。島根県三瓶山地域を、約50年前の草原で覆われた状態に戻した場合、草原固有の生物相の保全、美しい景観の復活、レクリエーションの地としての価値の増大など、さまざまな価値が新たに創出されると考えられるため、これらの定量化を試みた。調査は、広島県および島根県の住民に対する、郵送によるアンケートを用いて行った(計8000通配布)。 土壌生態学的分析では、これまでに継続調査を行ってきた高知県内のシバ草地牧場との比較を行った。三瓶地区は日本海側に位置し,火山灰を母材とする黒ボク土が分布しており、高知県内のそれと土壌環境が大きく異なる.土壌微生物組成は細菌優勢型,有機酸組成ではマロン酸含量が特異的に高いという点では異なっており,これは,年間を通して水分含量が高いことに起因すると考えられた.しかし,土壌中の養水分の動態は高知県下のシバ草地の経年数の長いものと類似しており,透水性・排水性のよい状態であると考えられた.
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