1999 Fiscal Year Annual Research Report
集水域におけるふん尿潅漑の水環境への影響評価と水・窒素収支モデルの構築
Project/Area Number |
11460109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
登尾 浩助 岩手大学, 農学部, 講師 (60311544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 潔 岩手大学, 農学部, 教授 (70091642)
馬場 秀和 岩手大学, 農学部, 教授 (80003789)
颯田 尚哉 岩手大学, 農学部, 助教授 (20196207)
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Keywords | ふん尿灌漑 / 水質 / 地下水 / 地表水 / 土壌水 / 硝酸態窒素 / リードキャナリーグラス / TDR |
Research Abstract |
畜産廃棄物の中でも特に肥料としての効力が顕著である家畜ふん尿の圃場への還元は,営農上からも資源の有効利用の点からも有効な糞尿処理法である。従来の研究では投入量と作物収量、土壌の化学性、窒素流出を勘案して投入量を算出した例がほとんどであり、投入されたふん尿が土壌中でどのような過程を経過して地下水に硝酸態窒素として現れるかのメカニズムを検討した例は少ない。そこで本研究では、集水域におけるふん尿潅漑の周辺水環境への影響を地表面流出水・土壌水・地下水の移動と水質を継続的にモニターすることにより評価し,適切なふん尿潅漑管理計画を立案するための数値モデルを構築する。初年度は、緩傾斜地でふん尿灌漑を行っている約2haの牧草(リードキャナリーグラス)畑を選定し、地下水、地表水、土壌水の水分移動と水質を経時的に観測した。地下水位と水質測定用の井戸を試験地内の10カ所に掘削した。試験地最下流端には地表水流出量測定用の堰を設けた。さらに、土壌水分量と電気伝導度測定用のTDRプローブを試験地内の2カ所に地表面下300cmまでにそれぞれ14カ所づつ埋設した。井戸の水位と水質の観測から、尿散布後の無機態陽イオンは14-20cm/d、硝酸態窒素は37-211cm/d、亜硝酸態窒素は11-147cm/d、アンモニア態窒素は98-210cm/dの移動速度で圃場の土壌中を移動したと推定された。また、圃場内の井戸水や圃場出口での湧水の硝酸態窒素濃度は観測期間中(10/8-2/4)比較的高い濃度を維持し、10mg/Lを越える場合もあった。しかし、圃場直下の河川水の濃度にはほとんど影響を及ぼしていないと推察された。また、地表面下250cm以深に設置したTDRプローブのデータから、この深さでの短期間の水質変化はほとんどないことが判明した。さらに、冬季積雪時においても地表水流出があることが連続観測から示唆された。
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