2000 Fiscal Year Annual Research Report
集水域におけるふん尿灌漑の水環境への影響評価と水・窒素収支モデルの構築
Project/Area Number |
11460109
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
登尾 浩助 岩手大学, 農学部, 講師 (60311544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 潔 岩手大学, 農学部, 教授 (70091642)
馬場 秀和 岩手大学, 農学部, 教授 (80003789)
颯田 尚哉 岩手大学, 農学部, 助教授 (20196207)
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Keywords | ふん尿還元 / 水質 / 地下水 / 地表水 / 負荷量 / 硝酸態窒素 / モデル / 計測 |
Research Abstract |
昨年度に引き続いてふん尿還元牧草畑にける地下水、地表水、土壌水の水分移動と水質を経時的に観測した。試験地最下流に設けた三角堰流量計により地表流出を観測した結果、2000年度は35回の越流が観測された。最も高い流出率が観測されたのは3月末から4月初めの85%であり、これには融雪も加わっていた。地下水位もまた降雨による短期間の上昇よりも雪解け期間の上昇がかなり大きいことがわかった。年間の総流出量は88.3mmで、総降水量1753mmの5%と小さかった。年間蒸発散量を585mmと推定すると、地下浸透は1080mmとなり、試験地への降水の約60%が浸透していることがわかった。 牧草地から排出される負荷量は、水分と同様に全ての物質で地下水の方が多く、Ca,Mgは10倍以上も多く地下水へ排出されていた。硝酸態窒素は、地表水により排出される硝酸態窒素と比べ、およそ6倍の負荷量を牧草地から地下水へ排出されていた。負荷量でみる限り、ふん尿成分は地表面流出よりも地下水への排出が量的には重要であることがわかった。 地下水においてたまに硝酸態窒素の環境基準値(10mg/L)を超える場合も観測されたが、近傍の川では環境基準値を超えることはなかった。本研究の試験地ではふん尿の施用によって一時的に地下水中の硝酸イオン濃度を局所的に上昇させてはいるが、試験地での糞尿散布が近傍の河川水質に及ぼす直接的な影響はみられなかった。今後、水分量・水質調査を継続することにより、試験地のより正確な物質収支を検討することが必要である。 有限要素法による2次元土壌中における水分移動に対するモデルが完成した。土壌中の硝酸態窒素移動に対するモデルは引き続き開発中である。これらの2つのモデルは結合して動作する予定であり、さらに、既に完成した地表面熱収支モデルと結合することにより、今後はより現実のほ場に近い水分・硝酸態窒素の移動状態が再現可能なモデルへと発展させる予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 颯田尚哉,登尾浩助,古賀潔,馬場秀和,向井田善郎: "家畜糞尿の施用が地下水水質に及ぼす影響調査1."環境衛生工学研究. 14・3. 220-225 (2000)