2000 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞およびEG細胞の生殖系列へのin vitro分化誘導に関する研究
Project/Area Number |
11460132
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Research Institution | AZABU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
舘 鄰 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30011711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 峯介 三菱化学, 生命科学研究所・生殖工学開発室, 室長
高木 信夫 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (20001852)
柏崎 直巳 麻布大学, 獣医学部, 講師 (90298232)
久松 伸 麻布大学, 環境保健学部, 講師 (10198997)
澤崎 徹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00012047)
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Keywords | ES細胞 / PGC / 生殖系列細胞 / SCF / フィーダー細胞 / 4C9 / 2C9 / シバヤギ |
Research Abstract |
偶蹄類家畜(ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタなど)における形質転換動物の作出や、核移植による体細胞クローン動物の作出が実用化の域に入りつつあるが、まだ未解決の問題が多く残されている。その一つに、顕微注入法による遺伝子導入操作や、核移植操作に必要な良好な卵細胞の確保の問題がある。現在、これらの操作に用いる未受精卵は雌動物の過排卵処理か、屠殺した雌動物の卵巣内の卵胞卵をin vitroで成熟させて用いているが、いずれの方法でも、状態の良好な卵を効率よく多数確保するのは困難である。もしも、XXの核型をもつES細胞(胚性幹細胞)やEG細胞(胚性生殖細胞)をin vitroの培養系で、生殖系列細胞に分化誘導し、究極的に卵細胞を形成させることが可能になれば、動物バイオテクノロジーに画期的な進歩がもたらされることが期待される(EG細胞は元来PGCから得られたものであるが、分化の点ではES細胞と同様の状態になっており、生殖系列細胞にするには、再分化誘導が必要である)。本研究の目的は、マウスおよび家畜(シバヤギ、ブタ)のES/EG細胞を、in vitroで始原生殖細胞(PGC)へ分化誘導して生殖系列細胞化する条件を決定することにある。 これまでに、ES細胞中にモノクローナル抗体4C9、2C9に対する抗原物質を発現している細胞があること、それらの頻度は、ES細胞の株によって異なる可能性があることを明らかにした。4C9、2C9はいずれもPGCに対する特異的抗体としても用いられているので、これらの抗体に陽性の細胞は生殖系列細胞としての特性を維持している可能性がある。4C9、2C9陽性ES細胞を増殖させる試みを行ったが、現在のところ、成功していない。一方、家畜のPGCをin vitroで培養し、増殖・維持するために、シバヤギ幹細胞因子(gSCF)を発現しているフィーダー細胞株の樹立を行った。現在、得られたフィーダー細胞の特性の解析を行っている。
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[Publications] S-I.Nakagawa,S.Saburi,K.Yamanouchi,H.Tojo,C.Tachi: "In vitro studies on PGC or PGC-like cells in cultured yolk sac cells and embryonic stem cells of the mouse."Arch.Histol.Cytol.. 63. 229-241 (2000)
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[Publications] B.B.Seo,C.H.Kim,K.Yamanouchi,M.Takah-shi,T.Sawasaki C.Tachi,H.Tojo: "Co-injection of restriction enzyme with foreign DNA into the pronucleus for elevating production efficiencies of transgenic animals."Anim.Reprod.Sci.. 63. 113-122 (2000)
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[Publications] H.Kagami,J.Iwata,A.Nakata,T.Tagami,Y.Matsubara,T.Harumi,C.Tachi, et al.: "Substantial evidence to localize the developmental origin of primordial germ cells in the chicken."Animal Science J.. 71. 38-41 (2000)
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[Publications] H.Inuzuka,K.Yamanouchi,C.Tachi,H.Tojo: "Expression of milk protein genes is induced directly by exogenous STAT5 without prolactin-mediated signal transduction in transgenic mice."Mol Reprod Dev:. 54. 121-125 (1999)
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[Publications] K.Miyoshi,N.Kashiwazaki,E.Sato: "Development of porcine nuclear transfer embryos reconstituted with blastocysts-derived cells and enucleated oocytes."Asian-Aus.J.Anim.Sci.. Supplement13. 201 (2000)
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[Publications] Tada,T.,Obata,Y.,Tada,M.,Goto,Y.,Nakatsuji,N.,Tan,S.-S.,Kono,T.,Takagi,N.: ": Imprint switching for non-random X-chromosome inactivation during mouse oocyte growth."Development. 127. 3101-3105 (2000)
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[Publications] 舘鄰: "遺伝子の機能を解析する.「家畜ゲノム解析と新たな家畜育種戦略」(分担執筆)"動物遺伝育種シンポジウム組織委員会編、畜産技術協会. 6 (2000)
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[Publications] 柏原孝夫,河本馨,舘鄰(共編): "動物遺伝学"文永堂出版、東京. 237 (2000)