2001 Fiscal Year Annual Research Report
発生および老化におけるリボソームタンパク質L4遺伝子のアポトーシス誘導作用
Project/Area Number |
11460135
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
中山 裕之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40155891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 正寿 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70302594)
尾崎 博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30134505)
西原 真杉 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90145673)
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Keywords | ラット / 脳 / リボソームタンパク質L4(rpL4) / 細胞増殖 / アポトーシス |
Research Abstract |
本年度は、まず発生期のラット脳におけるrpL4の発現量と分布を検索した。胎仔〜生後14日の脳で細胞増殖活性の高い部位にrpL4 mRNAの顕著な発現が確認された。次に、妊娠13日目に5AzCを投与し、胎仔の脳におけるアポトーシスとrpL4 mRNAの発現の推移を経時的に検索した。アポトーシスは投与9から24時間後に観察されたが、この間rpL4 mRNAの発現量に変化は認められなかった。したがって、rpL4は出生前後の脳において、細胞増殖に関連した機能を持つことが示唆された。 次に、5AzC投与ラット胎仔脳においてTUNEL法とBrdU法を用い、5AzC投与による神経上皮細胞の増殖動態およびアポトーシスの変化をしらべた。また、細胞増殖関連遺伝子p53、p21、bax、cyclin G1、fasおよびgadd45の発現を、免疫組織化学およびRT-PCR法により検索した。p53タンパク質陽性細胞とp21タンパク質陽性細胞の数のピークはそれぞれ5AzC投与後9時間目および12時間目であり、これらはアポトーシス陽性細胞と同一の部位で観察された。RT-PCRによる検索では、対照群と比べ、p21(9〜24時間目)、bax(12時間目)、cyclin G1(9〜24時間目)、およびfas(9〜12時間目)の発現が顕著に上昇していた。また、TUNEL陽性アポトーシス細胞の発現のピークは投与後12時間目であり、この時期にはBrdU陽性細胞数(S期の細胞数)も顕著に減少した。以上のことから、G1期での細胞周期停止が示唆された。 本研究の結果から、発生期の脳におけるrpL4 mRNA発現の詳細とこれを誘導する5AzCのDNA傷害メカニズムおよびそれによるアポトーシス誘導メカニズムの一端が明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ueno, M., Nakayama, H., Kajikawa, S., Katayama, K., Suzuki, K., Doi, K.: "Expression of ribosomal protein L4 (rpL4) during neurogenesis and 5-azacytidine (5AzC)-induced apoptotic process in the rat"Histology and Histopathology. (印刷中). (2002)
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[Publications] Ueno, M., Katayama, K., Yasoshima, A., Nakayama, H., Doi, K.: "5-Azacytidine (5AzC)-induced histopathological changes in the central nervous system of rat fetuses"Experimental and Toxicologic Pathology. (印刷中). (2002)
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[Publications] Ueno, M., Katayama, K., Nakayama, H., Doi, K.: "Mechanisms of 5-azacytidine (5AzC)-induced toxicity in the rat fetal brain"International Journal of Experimental Pathology. (印刷中). (2002)