1999 Fiscal Year Annual Research Report
疾患感受性を規定するウシ主要組織適合クラスII遺伝子の分子生物学的解析
Project/Area Number |
11460140
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
間 陽子 理化学研究所, 分子細胞生物学研究室, 先任研究員 (50182994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 幸助 岩手大学, 農学部, 教授 (50002077)
田島 茂 理化学研究所, 分子細胞生物学研究室, 奨励研究員 (60311346)
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Keywords | BoLAクラスII遺伝子 / DNAタイピング / BoLA-DRB3エクソン2 / PCR-Seqnence-Based Typing(PCR-SBT)法 / 牛白血病ウイルス(BLV)感染牛 / 抵抗性対立遺伝子 / 多型性 |
Research Abstract |
BoLAクラスII遺伝子のタイピング法の開発 正確迅速に世界中のウシMHC(BoLA)-DRB3エクソン2(BoLA-DRB3.2)の塩基配列を決定するためのPCR-Seqnence-Based Typing(PCR-SBT)法を考案した。特異的なプライマーを設計するために、BoLA-DRB3.2の塩基配列97種類より予測されるアミノ酸配列に基づいて対立遺伝子を8群に分類し、それそれの第一超可変部位のアミノ酸配列をコードする塩基と相補鎖を作る8種類(SP1-8)と、全ての対立遺伝子を増幅できるDRB3ALLを設計した。最初に、共通なプライマー(ERB3とHL031)を用いてfirst PCRを、次に、その産物をテンペレートとして上述の9種類のプライマーを用いたsecondPCRを行ない、そのPCR産物の塩基配列をダイレクトシークエンス法により決定した。この方法の有用性を確認するため、第5回国際BoLAワークショップにおいてPCR-RFLPによるタイピングが行われたDNAサンプル53種類の塩基配列を決定した。全てのサンプルの塩基配列の結果は、PCR-RFLPタイプと完全に一致した。 BoLAクラスII分子の多型性と白血病発症の相関関係の解明 牛白血病ウイルス(BLV)感染牛(未発症健康、持続性リンパ球増多症(PL)、地方病性牛白血病)のDNAを抽出し、BoLA-DRB3.2の塩基配列を上述の方法により決定した。発症牛にはDRB3*1601および*l001が、未発症健康牛にはDRB3*0701および*1401が有意に多かった。予測されるアミノ酸配列を比較したところ、DRβ鎖の中でも特に多型が集中しているβ1ドメインの特定のアミノ酸配列の違いが発症牛と未発症健康牛の間に見いだされた。71,74,77,78位のアミノ酸がリジン/アルギニン,グルタミン酸,アルギニン,バリンである対立遺伝子を少なくとも一有する個体の頻度は、発症牛およびPL牛に比較して未発症健康牛で高かった。一方リジン^<71>,アラニン^<74>,スレオニン^<77>,タイロシン^<78>であるアミノ酸をコードする対立遺伝子をホモ接合で有する個体の頻度は発症牛およびPL牛で高かった。リジン/アルギニン^<71>,グルタミン酸^<74,>アルギニン^<77>,,バリン^<78>あるアミノ酸をコードする対立遺伝子を有する固体がBLVによる白血病発症に対して抵抗性である可能性が示された。
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[Publications] 間陽子: "免疫遺伝学"獣医遺伝学入門(鈴木勝士監訳、学窓社). 160-172 (1999)
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[Publications] 間陽子: "免疫応答遺伝子の多型解析を用いた抗病性ウシ作出への基礎的研究"畜産技術. 531. 24-27 (1999)
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[Publications] 間陽子: "MHCの機能"最新獣医診療ハンドブック(長谷川篤彦監修、インターズー). 391-394 (1999)
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[Publications] 田島茂、間陽子: "ウシ白血病ウイルス誘発制Bリンパ腫におけるウシp53遺伝子の変異"動物遺伝研究会誌. 27. 45-54 (1999)
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[Publications] Nagaoka Y.et al.: "Ovine MHC class II DRB1 alleles associated with resistance or susceptibility to development of bovine leukemia virus-induced ovine lymphoma"Cancer Res.. 59. 975-981 (1999)
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[Publications] Kabaya H.et al.: "Up-regulation of tumor necrosis factor a mRNA in the bovine leukemia virus (BLV)-resistant sheep ; for the development of effective BLV vaccine"Vet.Immunol.Immunopathol. 68. 256-265 (1999)