2001 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスとその受容体の相互認識機構の解明と獣医学での応用
Project/Area Number |
11460148
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Research Institution | National Institute of Neutoscience, NCNP |
Principal Investigator |
田口 文広 国立精神・神経センター, 神経研究所・モデル動物開発研究所, 室長 (30107429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 寿啓 鳥取大学, 農学部, 教授 (00176348)
岡崎 克則 北海道大学, 獣医学研究科, 助教授 (90160663)
松山 州徳 国立精神・神経センター, 神経研究所・モデル動物開発研究所, 流動研究員
池田 秀利 動物衛生研究所, 室長
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Keywords | MHV / マウスレトロウイルス / インフルエンザウイルス / ヘルペスウイルス / ウイルス受容体 |
Research Abstract |
平成13年度は以下のことを明らかにした。MHVはS蛋白が細胞表面の受容体と結合し細胞内へと侵入する。可溶性MHV受容体(soMHVR)は細胞表面の受容体同様S蛋白と結合し、ウイルスを中和する。今回我々は、soMHVRと結合したMHVが受容体を持たない細胞への感染性を獲得することを見い出した。これはウイルスと受容体の結合、ウイルスの細胞侵入性の獲得などウイルス感染初期の動態がcell-free系で解析可能となったことを示している。この系は、MHV感染機構が分子レベルで詳しく解明される基盤を確立した(田口文広)。マウスの内在性レトロウイルスFν-4'は、その受容体結合蛋白envを発現することによって、宿主がある種のレトロウィルスに感染するのを阻止している。Fν-4'に近縁なウイルス群についてウイルス学的性格や核酸配列を明らかにし、このウイルス群の起源を推察した。また、マウスの実験系で、Fν-4' envを組み込んだレトロウイルスペクターを骨髄細胞に感染させ、レトロウイルス性白血病の発症を抑制することに成功した(池田秀利)。鶏の強毒インフルエンザウイルスの起源は水禽由来弱毒ウイルスである。我々はその弱毒ウイルスを鶏で継代することにより、鶏に対して致死率100%の強毒変異株を得た。この一連の継代株の遺伝子を解析することにより、「継代に伴ったHA蛋白開裂部位のアミノ酸置換による開裂能の変化」という本ウイルスの病原性獲得機序が明らかとなった。現在はレセプター特異性の変化を含めた本ウイルスの鶏への適応機序のさらなる解析を進めている(伊藤壽啓)。ウシヘルペスウイルス1のgB糖蛋白に対する単クローン抗体で選択されたエスケープミュータントは小プラークを形成した。ミュータントのgB糖蛋白はN末端のアミノ酸が変異していたことから、中和抗原決定基はN末端にあること、またこの部位はcell-to-cell感染に関与することがわかった(岡崎克則)。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Matsuyama, S, Taguchi, F: "Communication between S・N330 and a region in S_2 of murine coronavirus spike protein is important for virus entry"Virology. 294(in press). (2002)
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[Publications] Taguchi, F, Matsuyama, S: "Soluble receptor potentiates receptor-independent infection by murine coronavirus."Journal of Virology. 76. 950-958 (2002)
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[Publications] Ito, T.et al.: "Generation of a highly pathogenic influenza A virus from an avirulent field isolate by passaging in chickens"Journal of Virology. 75. 4439-4443 (2001)
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[Publications] Ito, T.et al.: "Virulent influenza A virus induces apoptosis of vascular epithelium in chicken in vivo infection"Virus Research. (in press). (2001)
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[Publications] Ikeda, H et al.: "Virological propeties and nucleotide sequences of Cas-E-type endogenous ecotropic murine leukemia virus"Journal of Virology. 75. 5049-5058 (2001)
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[Publications] Suzuki, T., Aizawa, S, Ikeda H.: "Expression of receptor for ecotropic murine leukemia virus on hematopoietic cells"Archies of Virology. 146. (2001)