1999 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分裂過程における染色体会合蛋白質の動態に関する分子細胞学的研究
Project/Area Number |
11460157
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
池上 晋 広島大学, 生物生産学部, 教授 (80011980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細谷 浩史 広島大学, 理学部, 教授 (90183102)
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Keywords | トランスグルタミナーゼ / イトマキヒトデ / NAAP / GTPase / クロマチン / 細胞分裂 / F-11754a / 胚 |
Research Abstract |
近年、動物細胞内に存在するトランスグルタミナーゼ(II型)は核蛋白質としてヒストン蛋白質を架橋し、細胞分裂の停止をもたらす要因になる可能性が指摘され、細胞生物学上大きな関心が寄せられている。しかし、これまで、どの生物種においても、細胞核特異的トランスグルタミナーゼが存在することを明かにした例は皆無であり、クロマチン・レモデリングにおけるトランスグルタミナーゼの意義は明かではない。イトマキヒトデ核特異的トランスグルタミナーゼcDNAがクローニングされ、その遺伝子配列が決定された。本研究において、全真核生物界で初めて核特異的トランスグルタミナーゼの存在が確定された。この酵素はF-11754aメチルエステルによって効率良く阻害された。また、本酵素はGTPによって阻害されるが、GTPase活性を有しており、生じたGDPでは阻害されない特性を有することが明らかになった。以上の結果から、細胞核特異的トランスグルタミナーゼは細胞核内でG蛋白質として働き、シグナル伝達に関与することが推測された。 卵形成過程で転写され、卵母細胞に集積する核酸結合性タンパク質として、見かけの分子質量(Apparent molecular mass;以下Mrと略称)が約50キロ(以下、kDaと略称)のNucleic acid-associated protein(以下、NAAPと略称)が存在する2)。NAAPは卵母細胞から精製・単離され、NAAPをコードするcDNAの全塩基配列が決定された。NAAPは胚細胞核において染色体に強く会合することが判明した。
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