2000 Fiscal Year Annual Research Report
血管異常収縮を引き起こす細胞内情報伝達機構に関する分子細胞生理学的研究:血管病の病態解明と治療法開発への新しいアプローチ
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11470012
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小林 誠 山口大学, 医学部, 教授 (80225515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 洋一 山口大学, 医学部, 講師 (80274158)
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Keywords | 血管平滑筋 / 細胞質Ca^<2+> / Ca^<2+>非依存性収縮 / スフィンゴ脂質 / Rhoキナーゼ / 細胞内情報伝達 |
Research Abstract |
合計すると我が国死因の第1位となる血管病(心筋梗塞や脳卒中など)の原因として、血管平滑筋のCa^<2+>非依存性収縮(すなわち、[Ca^<2+>]i増加の程度だけでは説明できない異常に大きな収縮)による血管の緊張異常が注目されている。このCa^<2+>非依存性収縮を引き起こすメカニズムを解明し、また、その機能分子を同定することによって、死因第1位である血管病の予防法や治療法を早急に開発することが、国民衛生上の最重要課題である。 したがって、本研究の目的は、申請者らが独自に開発した分子細胞生理学的手法を駆使して、1)血管平滑筋のCa^<2+>非依存性収縮を引き起こす情報伝達因子の相互関係、およびそれらの上流・下流の情報伝達機構(因子)を明らかにすること、2)血管平滑筋のCa^<2+>非依存性収縮を特異的に抑制する新規の細胞内情報伝達因子の同定・クローニングを行い、3)これらの情報伝達系のヒトにおける生理的・病態的役割について明らかにすること、その細胞内情報伝達機構を明らかにすること、にある。 初年度は、Rhoキナーゼとスフィンゴ脂質の相互関係について、阻害薬を用いて検討したが、本年度は、より直接的に証明するために、リコンビナント蛋白、分子内阻害ペプチドを用いて、さらに詳細に検討した。以下のような結果を得た。1)スフィンゴ脂質は、Ca^<2+>非依存性収縮を引き起こす細胞内シグナル分子である。2)Rhoキナーゼのドミナント・ネガティブ体をスキンド血管に投与すると、スフィンゴ脂質によるCa^<2+>非依存性収縮は完全に抑制された。3)Cキナーゼの分子中にあるPseudosubstrate部分のペプチドをスキンド血管に投与すると、スフィンゴ脂質によるCa^<2+>非依存性収縮は抑制されなかった。以上の結果より、スフィンゴ脂質は、Rhoキナーゼの活性化を介してCa^<2+>非依存性収縮を引き起こす細胞内情報伝達因子であることが証明された。また、このスフィンゴ脂質/Rhoキナーゼ情報伝達系は、Cキナーゼ系とは異なる経路である事も示された。
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[Publications] Todoroki-Ikeda N.: "Sphingosylphosphorylcholine induces Ca^<2+>-sensitization of vascular smooth muscle contraction : possible involvement of Rho-kinase."FEBS Lett. 482. 85-90 (2000)
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[Publications] Mizukami Y: "Nuclear mitogen-activated protein kinase activation by protein kinase Cζ during reoxygenation after ischemic hypoxia."J.Biol.Chem.. 275. 19921-19927 (2000)
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[Publications] Omura M: "Eicosapentaenoic acid induces Ca^<2+>-independent activation and translocation of endothelial nitric oxide synthase and endothelium-dependent vasorelaxation."FEBS Lett.. 487. 361-366 (2001)