1999 Fiscal Year Annual Research Report
長期臥床による起立耐性・体温調節能低下に関する神経性機序のニューログラム解析
Project/Area Number |
11470017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
間野 忠明 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30023659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 順子 名古屋大学, 医学部, 助教授 (00175134)
岩瀬 敏 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (90184879)
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Keywords | 起立性低血圧 / 微小重力環境 / 6゜ヘッドダウンベッドレスト / 起立負荷試験 / 筋交感神経活動 / マイクロニューログラフィー / 圧受容器反射 / 宇宙飛行 |
Research Abstract |
本年度は、長期臥床後の起立耐性低下の機序の解明を主な目的として、若年健康男性28名(平均年齢23歳)を対象として、微小重力環境模擬法である6゜ヘッドダウンベッドレストを14日間実施した。被験者は、ベッドレスト実験中、食事や排泄を含めたすべての生活をこの姿勢で行い、ナーススタッフが生活上の不便な点を手助けした。食事摂取量は2,100kcal/日に管理されたが、水分摂取量は被験者の自由とし、結果として約1,200ml/日であった。ベッドレスト前後に、安静仰臥位での測定を15分間行った後、60゜の受動的起立負荷試験を15分間行った。14日間のベッドレスト後、16名が、収縮期血圧の低下や前失神症状(嘔気、発汗、眼前暗黒感、目眩など)の出現のため、起立負荷試験を完遂できなかったが(起立耐性低下群)、残りの12名はこれを完遂できた(起立耐性維持群)。ベッドレスト後、起立負荷試験開始直後の1分間においては、起立耐性低下群、維持群の両群で同様に、筋交感神経活動(マイクロニューログラフィーにより脛骨神経から測定)と心拍数は増加し、動脈圧受容器―筋交感神経活動反射ゲインも増加した。しかし、起立耐性低下群においては、起立性低血圧をきたす直前の1分間において、圧受容器反射ゲインと筋交感神経活動が低下し、平均血圧(ポルタプレス法により測定)も低下した。この時、心拍数の低下はみられなかった。起立耐性維持群においては、圧受容器反射ゲイン、筋交感神経活動および心拍数の増加反応が起立負荷試験中15分間持続して維持され、平均血圧も最後まで維持された。以上から、長期臥床後の起立耐性低下は、起立負荷数分後に、おそらく中枢性に動脈圧受容器―筋交感神経活動反射機能が減弱することにより、筋交感神経活動が血圧低下に拮抗して増加し続けることができなくなるためと考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Atsunori KAMIYA, Satoshi IWASE, Daisaku MICHIKAMI, Qi FU, Tadaaki MANO: "Muscle sympathetic nerve activity during handgrip and post-handgrip muscle ischemia after exposure to simulated microgravity in humans"Neuroscience Letters. 280. 49-52 (2000)
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[Publications] Atsunori KAMIYA, Satoshi IWASE, Daisaku MICHIKAMI, Qi FU, Tadaaki MANO, Kiyoyuki KITAICHI, Kenji TAKAGI: "Increased vasomotor sympathetic nerve activity and decreased plasma nitric oxide release after head-down bed rest: disappearance of correlation between vasoconstrictor and vasodilator"Neuroscience Letters. (In Press).
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[Publications] 厚田幸子,神谷厚範,道上大策,傳 埼,臼井弘明,新美由紀,岩瀬 敏,間野忠明: "宇宙飛行後の筋萎縮と運動時の自律神経系応答"Space Utilization Research. 16. 42-44 (2000)
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[Publications] 神谷厚範,道上大策,傳 埼,厚田幸子,臼井弘明,新美由紀,岩瀬 敏,間野忠明: "微小重力曝露後の起立耐性の低下と血管運動性交感神経活動"Space Utilization Research. 16. 45-48 (2000)
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[Publications] Tadaaki MANO: "Muscular and cutaneous sympathetic nerve activity. In: Handbook of Clinical Neurology, Vol.74(30): The Autonomic Nervous System"Elsevier Science B. V.. 649-665 (1999)