2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11470044
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
裏出 良博 大阪バイオサイエンス研究所, 第2部門, 部長 (10201360)
松村 伸治 関西医科大学, 医学部, 助手 (70276393)
芦高 恵美子 関西医科大学, 医学部, 講師 (50291802)
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Keywords | 痛覚 / アロディニア / ノックアウトマウス / 坐骨神経結紮モデル / プロスタグランジン / シクロオキシゲナーゼ / グルタミン酸NMDA受容体 / 一酸化窒素合成酵素 |
Research Abstract |
痛みは生体にとって警告反応となる生理的な痛みだけでなく、炎症や手術後の痛み、癌末期の疼痛、神経の損傷による神経因性疼痛(ニューロパシックペイン)と様々な原因で起こり、自発痛、侵害性刺激による痛覚過敏反応、本来痛みを誘発しない非侵害性刺激による痛み(アロディニア)とさまざまな病態をとる。末梢組織で活性化された侵害受容器のシグナルは一次求心性線維を介して脊髄後角に伝えられる。我々は、脊髄髄腔内にプロスタグランジン(PG)E_2あるいはPGF_<2α>を投与するとアロディニアを生じ、PGD_2がアロディニアの発症を修飾すること、これらのアロディニアの発症はカプサイシン感受性と非感受性の異なる2つの伝達経路を介すること、脊髄での中枢性感作には、PG→グルタミン酸→NMDA受容体→一酸化窒素合成酵素(NOS)の活性化という生化学的カスケードを介することを明らかにしてきた。今年度は、アロディニアの発症機構におけるこれらの生体因子の役割をノックアウトマウスで明らかにするために、まずマウスの坐骨神経結紮モデルを確立し、検討した。1)アロディニアは坐骨神経結紮後、1週間で生じたが、COX-2のノックアウトマウスは、アロディニアの発生には関与しなかった。2)坐骨神経結紮モデルの痛覚反応はCOX-1の選択的阻害薬で抑制されたが、COX-2の選択的阻害薬では影響されなかった。3)誘導型NOSのノックアウトマウスでもアロディニア反応は抑制されなかった。4)NMDA受容体ノックアウトマウスではアロディニア反応の出現が抑制された。これらの結果は、アロディニアの発症にグルタミン酸による興奮性神経伝達が重要な役割をしていることを示唆するものである。今後、我々が進めてきた髄腔内PG投与によるアロディニアモデルと比較検討してアロディニアの発症機構を解明したいと考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakano,H.: "Effect of intrathecal nocistatin on the formalin-induced pain in mice versus that of nociceptin/orphanin FQ."J.Pharmacol.Exp.Ther.. 292. 331-336 (2000)
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[Publications] Minami,T.: "Characterization of nociceptin/orphanin FQ-induced pain in responses conscious mice : neonatal capsaicin treatment and NMDA receptor GluRε subunit knockout mice."Neuroscience. 97. 133-142 (2000)
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[Publications] Ito,S.: "Central roles of nociceptin/orphanin FQ and nocistatin : allodynia as a model of neural plasticity."Progress Brain Res.-Nervous system plasticity and chronic pain. 129. 205-218 (2000)
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[Publications] Okuda-Ashitaka,E.: "Nocistatin : a novel neuropeptide encoded by the gene for the nociceptin/orphanin FQ precursor."Peptides. 21. 1101-1109 (2000)
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[Publications] Nishizawa,M.: "Close kinship of human 20a-hydroxysteroid dehydrogenase gene with three aldo-keto reductase genes."Genes to Cells. 5. 111-125 (2000)
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[Publications] Minami,T.: "Characterization of the glutamatergic system for induction and maintenance of allodynia."Brain Research. (in press). (2001)