1999 Fiscal Year Annual Research Report
C型インフルエンザウイルスHE蛋白の糖鎖はS-S結合の制御因子か
Project/Area Number |
11470074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中村 喜代人 山形大学, 医学部, 教授 (00125775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 勘悦 山形大学, 医学部, 教務職員 (60110673)
松嵜 葉子 山形大学, 医学部, 助手 (00292417)
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Keywords | C型インフルエンザウイルス / HE蛋白 / 糖鎖 / エピトープ形成 / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
C型インフルエンザウイルスのスパイク蛋白であるヘムアグルチニン(HE)分子上には、糖鎖結合部位が8箇所(26位、61位、131位、144位、189位、395位、552位、603位)存在する。個々の糖鎖の役割を明らかにする目的で、各々の糖鎖結合モチーフ(N-X-S/T)を破壊した変異蛋白(M26、M61、M131、M144、M189、M395、M552、M603)を作成し、その性状分析を進めている。以下にこれまでの研究経過を要約する。 1) 各変異蛋白の分子量を正常のHEと比較したところ、1つの例外(M131)を除き、分子量の減少を認めた。従って131位以外の糖鎖結合モチーフには、実際に糖鎖が付加されていると結論される。なお131位のN残基は、アセチルエステラーゼの活性中心の形成にあずかることが知られている。2) 7つの抗原領域(A-1〜A-5、B-1〜B-2)を認識する11個の抗HE単クローン抗体との反応性を各変異HE蛋白について調べた結果、M144がA-1とA-2に位置する全てのconformational epitopeに対する抗体との反応性を失っていることが明らかになった。この反応パターンは、糖鎖を一切持たないHEと同じである。従ってHE分子の頭状部の立体構造の形成に不可欠な糖鎖は144位に付加されるものと結論される。3) 各変異蛋白の細胞表面への輸送能を赤血球吸着反応と膜蛍光抗体法で調べたところ、M26は細胞表面に全く輸送されず、M144とM603の輸送効率もかなり低下するのが認められた。従って輸送に決定的な役割を果たすのは茎状部の糖鎖だが(26位、603位)、頭状部の糖鎖の中にも輸送に影響を与えるものがあると推測される。4) 26位と144位の糖鎖が、HE蛋白の細胞内輸送や頭状部の立体構造の形成をそれぞれどのようなメカニズムで制御しているのかを解明することが、今後の課題になる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Muraki Y.: "Location of a linear epitope recognized by monoclonal antibody S16 on the hemagglutinin-esterase glycoprotein of influenza C virus"Virus Research. 61・1. 53-61 (1999)
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[Publications] Matsuzaki Y.: "Characterization of the antigenically unique influenza C strains isolated in Yamagata and Sendai Cities, Japan during 1992/1993"J Gen Virol. (in press).