2001 Fiscal Year Annual Research Report
パラミクソウイルスゲノムの転写機構:宿主因子の精製,同定と機能の解析
Project/Area Number |
11470080
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
水本 清久 北里大学, 薬学部, 教授 (80092344)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻野 朝朗 北里研究所, 研究員 (80312213)
岩間 美奈子 北里大学, 薬学部, 助手 (10223421)
塚本 俊彦 北里大学, 薬学部, 助教授 (10236862)
|
Keywords | パラミクソウイルス / センダイウイルス / マイナス鎮RNAゲノム / RNA依存RNAポリメラーゼ / 宿主因子 / ウイルスmRNA / mRNAキャッピング / キャップメチル化酵素 |
Research Abstract |
センダイウイルス(SeV)はパラミクソウイルス科に属し,そのゲノムは約15kbの非分節マイナス鎖RNAからなる.ウイルスゲノムの転写は,ウイルスゲノムでコードされるRNA依存RNAポリメラーゼ(LおよびPタンパク質)によって触媒されるが,転写反応にはこの酵素以外にも宿主由来のタンパク質因子(宿主因子)の存在が必須である.我々は,SeVゲノム転写の分子機構を明らかにすることを目的に,宿主因子の精製とその機能解析を行っている.これまでに,精製ウイルス粒子を用いたin vitro転写反応による解析から,SeVmRNAの生合成には少なくとも3つの宿主因子が必要であり,その内の2つについて,細胞骨格系タンパク質のチューブリンおよび解糖系酵素のホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)であることを明らかにした.今年度は,第3の因子の精製とその機能解析を行い,以下の結果を得た.チューブリンとPGK存在下にウシ脳抽出液よりSeV in vitro転写反応を促進する活性を指標として第3の因子を精製したところ,因子はさらに2つの相補的なタンパク質成分,分子量52,000(p52)と同28,000(p28)に分離された.そのうちのp52は単一タンパク質として精製し,その部分アミノ酸配列,酵素活性,ならびに免疫化学的な性質から解糖系酵素のエノラーゼであることを明らかにした.このことは,組換えヒトαエノラーゼもp52と同様の転写促進活性を示すことからも裏付けられた.これら4つの宿主因子の機能に関しては,チューブリンが転写開始に関与し転写開始複合体中に組み込まれて機能するのに対して,PGK,エノラゼ,およびp28の3者はmRNA鎖の伸長段階を促進することを明らかにした.また,SeV mRNAはメチル化キャップ構造を有するが,キャップメチル化酵素,mRNA(guanine-7-)methyltransferase,活性がウイルスゲノムを合むリボヌクレオプロテイン(RNP)中に合まれていることを明らかにした.
|
-
[Publications] H.Chiba et al.: "Actinohibin, a novel anti-HIV protein from an actinornycetes that inhibits syncytium formation : Isolation, characterixzation and cytological activities"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 282. 595-610 (2001)
-
[Publications] T.Ogino et al.: "Enolase, a cellular glycolytic enzyme, is required for efficient transcription of Sendai virus genome"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 285. 447-455 (2001)
-
[Publications] A.Honda et al.: "Differential roles of vRNA and cRNA in functional modulation of the influenza virus RNA polymerase"J. Biol. Chem.. 276. 31179-31185 (2001)
-
[Publications] T.Yamochi et al.: "p7Oik3-1 is phosphcnylated by cyclin-dependent kinase 3 (cdk 3)"Eur. J. Biochem.. 268. 6076-6082 (2001)
-
[Publications] K.Tsuji.et al.: "Differential effect of ik3-1/Cables on p53-and p73-induced cell death"J. Biol. Chem.. 277. 2951-2957 (2002)