1999 Fiscal Year Annual Research Report
アルデヒド脱水素酵素(ALDH)2欠損マウスによる環境中化学物質への感受性の検討
Project/Area Number |
11470101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
川本 俊弘 産業医科大学, 医学部, 教授 (60177748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 恭子 産業医科大学, 医学部, 助手 (20299605)
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Keywords | ノックアウトマウス / アルデヒド脱水素酵素 / 環境中化学物質 |
Research Abstract |
1:ALDH2ノックアウトマウスのALDH活性についてのin vitro系での検討 homozygote,heterozygoteの3種類のgenotypeのマウス肝からミトコンドリア(Mit)、細胞質(Cyt)、ミクロゾーム(Mcr)を分画し、各種アルデヒド体を基質として酵素活性を調べた。Mcrには酵素活性は認められず、Cytではbenzaldehydeに各genotype間で同等の活性が認められた。Mitでは野生型homozygote由来でプロピオンアルデヒド,アセトアルデヒド,メトキシアセトアルデヒド(MALD)に酵素活性が認められ、heterozygoteでの活性はこれらの約1/2、欠損型homozygoteではこれらすべての基質に対して活性は完全に消失していた。ALDH2はMitに局在すると考えられており、今回酵素活性にgenotype間の差が見られたものはこれら基質に対してALDH2がin vitroにおいては選択的に酵素活性を持つためであると考えられた。 野生型homozygote由来MitおよびCyt分画を材料とした等電点電気泳動では、それぞれ多数本のバンドが検出された。ALDHはヒトの場合10種類以上のサブタイプの存在が知られており、又酵素活性体は多量体の形態を取っていることが知られている。検出結果はこれらを反映したものと考えられた。 2:化学物質の代謝・毒性発現におけるALDH2の関与についての検討 マウスにメトキシエタノールを5日間連続経口投与したとき、aldh2のgenotypeに無関係に300mg/kgBW/dayで精巣重量の有意な低下が生じ、組織像では精母細胞に障害が観察された。 上記1の検討では欠損型homozygote由来肝粗分画のみMALDに対する酵素活性を持たなかったため、ALDH2欠損が上記精巣障害に及ぼす影響は更に検討中である。
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