1999 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌攪乱化学物質とライフスタイルに関する基礎的・予防医学的研究 -フタル酸エステルと精巣障害を中心として-
Project/Area Number |
11470108
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
實成 文彦 香川医科大学, 医学部, 教授 (60127561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 雅明 香川医科大学, 医学部, 教授 (10163974)
伊藤 正裕 香川医科大学, 医学部, 助教授 (00232471)
竹中 生昌 香川医科大学, 医学部, 教授 (40032180)
須那 滋 香川医科大学, 医学部, 助手 (40253265)
浅川 冨美雪 倉敷芸術科学大学, 教養学部, 教授 (20159362)
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Keywords | DEHP / 精巣障害 / ビタミンEC / 活性酸素 |
Research Abstract |
本年度はdi(2-ethylhexyl)phthalate(DEHP)精巣毒性検出系の確立と精巣毒性発現過程の解析を中心に検討を行った。 雄SD(Sprague-Dawley)ラット5週齢を用い、DEHP1%、2%混合餌を各6週間投与し、精巣毒性の発現を観察した。1%混合餌投与群では2週以降対照群に比べて著明な肝臓肥大がみられたが、精巣萎縮はみられなかった。一方、2%混合餌投与群は2週目以降、著明な精巣萎縮、体重減少、肝臓肥大がみられた。2%混合餌投与群の精巣組織は、2週目で精祖細胞とセルトリ細胞は残存するものの、その他の細胞は強い障害を受けていた。フローサイトメトリーでは、ディプロイドの細胞がほとんどを占め、ハプロイドの細胞は少なく、減数分裂が著明に抑制されていることを示していた。またCD1マウス8週齢において、2%混合餌投与群を観察すると、2週間投与の後にDEHPを中断すると精子形成が回復することがわかった。よってDEHPによる精巣障害は可逆的病変であることが明かとなった。 次に、同検出系を用いビタミンEC剤投与効果について検討した。市販E(d-α-トコフェロール)C(アスコルビン酸)剤をE:1.5mg/ml、C:3mg/mlの濃度で飲料水として与えた2%混合餌投与ラット群では著明な精巣萎縮抑制が認められ、体重減少の抑制や肝臓肥大の抑制などがみられた。2%DEHP混合餌投与でビタミン無投与群の血清ビタミンEは投与後3日目に有意に下がったが、造精障害の完成する2週目には正常レベルに回復していることがわかった。ビタミンEとCには強い抗酸化作用があることが知られており、本実験におけるビタミンEとCによるDEHP精巣毒性の抑制の観察は、DEHPが活性酸素の発生を介して造精障害を引き起こす可能性を示唆した。 次にDEHP精巣毒性における活性酸素の関与を考え、マクロファージに対しDEHPを加えてみたが、10μMまで濃度を上げてもほとんど活性酸素の発生を惹起しなかった。従って、活性酸素が関与するにしても、さらに複雑な系が関わっていることが推察された。また女性生殖器への影響を解析すべく、卵巣由来の細胞の増殖に対するDEHPの影響を調べたが、効果は認められなかった。
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[Publications] Ishihara,M.,Itoh,M.,Miyamoto,K.,Suna,S.,Takeuchi,Y.,Takenaka,I.,Jitsunari,F.: "Spermatogenic disturbance induced by di(2-ethylhexyl)phthalate is significantly prevented by treatment with antioxidant vitamines in rats."Int.J.Androl.(in press).
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[Publications] Musa,F.R.M.,Takenaka,I.,Tokuda,M.: "Effects of Luteinizing Hormone,Follicle-Stimulating Hormone,and Epidermal Growth Factor on Expression and Kinase Activity of Cyclin-Dependent Kinase 5 in Leydig TM3 and Sertoli TM4 Cell Lines."J.Andrology (in press).
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[Publications] Sui,L.,Tokuda,M.,Ohno,M.,Hatase,O.,Hando,T.: "The Concurrent Expression of p27^<kip1> and Cyclin D1 in Epithelial Ovarian Tumors"Gynecol.Onol.. 73. 202-209 (1999)