2001 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌攪乱化学物質とライフスタイルに関する基礎的・予防医学的研究-フタル酸エステルと精巣障害を中心として-
Project/Area Number |
11470108
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Research Institution | Kagawa Medical University |
Principal Investigator |
實成 文彦 香川医科大学, 医学部, 教授 (60127561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正裕 東京医科大学, 医学部, 教授 (00232471)
浅川 冨美雪 倉敷芸術科学大学, 教養学部, 教授 (20159362)
徳田 雅明 香川医科大学, 医学部, 教授 (10163974)
竹内 義喜 香川医科大学, 医学部, 教授 (20116619)
須那 滋 香川医科大学, 医学部, 助手 (40253265)
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Keywords | DEHP / Ethanol / Caffeine / Nicotinic Acid / 精巣萎縮 / 活性酸素 / アポトーシス |
Research Abstract |
これまでの研究で、人々が飲食を通じて日常的に比較的多量を摂取しているCaffeine、Ethanol、Vitamin E, C, Nicotinic acidなどにDEHP精巣萎縮に対する抑制効果を認めた。そこで、本年度はCaffeine、Ethanol、Nicotinic acidを組み合わせて投与し、複合投与効果を検討した。 (方法) SDラット(体重: 100〜130g)に1%DEHP混餌とともにCaffeine、Ethanol、Nicotinic acidを含む飲料水(Caffeine:0.05w/v%、Ethanol:2.5,5v/v%、nicotinic acid:0.5w/v%)を組み合わせて1週間投与し、DEHPによる精巣萎縮を観察した。 (結果) 前年度に見出されたDEHP精巣萎縮抑制効果はEthanol、Caffeineのいずれにも再現できたが、Caffeineの効果はやや小さかった。また、Ethanolは2.5%の濃度でも効果があることがわかった、複合投与では、2.5,5v/v% EthanolとCaffeineの複合投与にみられたDEHP精巣萎縮抑制効果はCaffeine単独効果よりもわずかに大であったが、2.5あるいは5v/v%Ethanolの単独効果よりも低かった。Nicotinic acidとCaffeineの複合投与でのDEHP精巣萎縮抑制効果はCaffeine単独よりも大きいことがうかがわれたが、体重抑制はDEHP単独投与よりも強くあらわれた。現在のところ、Caffeine、Ethanol、Nicotinic acidによるDEHP精巣毒性抑制のメカニズムは不明であるが、Caffeine、Ethanol、Nicotinic acidの脂質酸化系に及ぼす効果がDEHP精巣毒性抑制に関連している可能性が考えられた。生化学的および免疫組織学的な解析で、DEHPは活性酸素の産生を増加するとともに、GSHおよびアスコルビン酸の含量を低下させること、そしてその結果として性細胞にアポトーシスを引き起こし精巣の萎縮が起こることが判明した。DEHPの加水分解型のMEHPはミトコンドリアからcytochrome Cの遊離を起こすことから、アポトーシスの主たる原因と思考えられた。
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