2002 Fiscal Year Annual Research Report
人工光環境ストレスと関連ホルモン分泌動態に係わる内分泌疫学研究
Project/Area Number |
11470115
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
兜 眞徳 国立環境研究所, 首席研究官室, 首席研究官 (00113481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒河 佳香 国立環境研究所, 環境健康研究領域, 主任研究員 (30205231)
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Keywords | 人工光 / メラトニン / 生体リズム |
Research Abstract |
夜間の人工光暴露とメラトニン分泌との関連を調べるために、以下の実験を実施した。 実験1:20代男子16名を対象とした。連続した2日間において、通常とほぼ同じ生活スケジュールのもとで、夜の帰宅から就寝までの時間帯を、2日のうち1日はできる限り明るく(B-Day)、別の1日はできる限り暗く(D-Day)した自宅室内で過ごしてもらった。受光量は2分ごとに携帯式照度計(Hobo)で計測し、メラトニンは上記の時間帯(1)および睡眠中(2)に採取した全尿を用いてELISAにより定量した。その結果、適切にデータ収集を行い得た14名において集計すると、受光量は14.3±11.3ルクス(B-Day)、1.25±0.41ルクス(D-Day)であった。そして、尿中メラトニン排泄速度(ng/hour)は時間帯1において1.14±0.85(B-Day)、0.86±0.57(D-Day)、時間帯2において3,70±1.82(B-Day)、3.31±1.31(D-Day)であり、BとDとで有意な差は認められなかった。 実験2:20代男子10名を対象とした。実験1よりも厳密な実験を行うため、以下の点を変えた:(1)B-DayとD-Dayで1と2の時間帯を同じに固定した、(2)2日間の実験をB/Dの順序を変えて計2回実施した、(3)受光量は前胸部にActiwatch-L(MiniMitter社)を固定して1分ごとのデータを計測した、(4)時間帯1での照明は、被験者宅の備え付け照明および各自の至近距離に置いた白熱灯(規格を全被験者で統一)で調節した。その結果、適切にデータ収集を行い得た8名において集計すると、受光量は111.5±72.8ルクス(B-Day)、8.49±6.39ルクス(D-Day)であった。そして、尿中メラトニン排泄速度(ng/hour)は時間帯1において1.32±0.66(B-Day)、1.61±0.72(D-Day)、時間帯2において3.30±2.28(B-Day)、3.02±1.72(D-Day)であり、BとDとで有意な差は認められなかった。 以上の結果より、通常の生活において夜間に暴露されている人工照明がヒトのメラトニンの夜間分泌に影響を与えている可能性は低いことが示唆された。
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