2001 Fiscal Year Annual Research Report
原発性胆汁性肝硬変の病因エピトープの同定と免疫応答の解析
Project/Area Number |
11470124
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
林田 一洋 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (60180981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹月 健彦 国立国際医療センター研究所, 所長 (50014121)
西村 泰治 熊本大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10156119)
中村 稔 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (40217906)
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Keywords | 原発性胆汁性肝硬変 / 自己免疫 / 自己抗体 / 自己反応性T細胞 / 分子相同性 / アナログペプチド / 自己抗原 / 抗ミトコンドリア抗体 |
Research Abstract |
本研究の目的は原発性胆汁性肝硬変(PBC)の発症、進展の主因とされる免疫反応の根幹となる病因抗原を、分子相同性の面より検討して同定し、エピトープ解析に基づいて自己免疫応答機構を明らかにし、最終的には抗原特異的な免疫療法を開発することである。 平成13年度は、以下の2点について検討を行った。すなわち、 1)PBC発症のトリガーとなる自己へのトレランスの破綻による自己反応性T細胞の活性化機序を、自己抗原と外来抗原との分子相同性の機序から検討する。昨年度我々は、ヒトPDC-E2163-173ペプチド反応性T細胞クローンの多くが大腸菌OGDC-E2 34-47ペプチド抗原と交差反応性を有することを示した。そこで更に分子相同性の概念を検証するために、大腸菌OGDC-E2 34-47反応性T細胞クローンを樹立して自己抗原との交差反応性を解析した。 2)PBC患者では抗ミトコンドリア抗体のみならず、30〜40%の患者では抗核抗体も同時に陽性となることが知られている。抗核抗体の産生においてもミトコンドリア抗原と核抗原の間で成り立つ分子相同性の機序により、抗核抗体産生という免疫反応が誘発されている可能性がある。そこで内在性自己抗原との分子相同性を検討するために、ミトコンドリア抗原と分子相同性を有する核抗原をプロテインデータベースより検索して合成ペプチドを作成し、PDC-E2 163-176反応性T細胞クローンとの交差反応を検討した. 研究成果として、1)外来抗原である大腸菌OGDC-E2 34-47反応性T細胞クローンの多くは、抗ミトコンドリア抗体(AMA)の各対応抗原に相当する自己抗原ペプチド(PDEC-E2,E3BP, OGDC-E2,BCOADC-E2)に対して交差反応性を有する.2)ミトコンドリア抗原(PDC-E2 163-176)反応性T細胞クローンの一部は抗核抗体の代表的な対応抗原であるgp210、Nucleoporin NUP214、SP100、Centromere protein C由来自己ペプチドと交差反応性を有する、ことを明らかにした. これらの結果より、PBCの発症要因として、大腸菌による自己反応性T細胞の活性化機構の可能性が推察されるとともに、内在性自己抗原間において分子相同性の機序働いている可能性が示唆された。(本研究は13年度途中で研究代表者石橋大海異動のため主業績は石橋大海が主体)
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Tanaka A, Borders AT, Ishibashi H, Ansarif AA, Gershwin ME.: "Genetic and familial considerations of primary biliary cirrhosis"American Journal Gastroenterology. 96(1). 8-15 (2001)
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[Publications] Ishibashi H: "Are primary biliary cirrhosis and autoimmune cholangitis reflective of the pendulum of a clock and therefore represent a 'phase' of the same disease?"Journal of Gastroenterology Hepatology. 16(2). 121-123 (2001)
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[Publications] Van de Water J, Ishibashi H, Coppel RL, Gershwin ME: "Molecular mimicry and primary biliary cirrhosis : Premises not promises"Hepatology. 33(4). 771-775 (2001)
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[Publications] Ishibashi H, Kamihira T, Shimoda S: "Bile duct cell apoptosis : a rare event in primary biliary cirrhosis?"Digestive Liver Disease. 33(2). 122-124 (2001)
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[Publications] 中村 稔, 下田慎治, 石橋大海: "原発性胆汁性肝硬変におけるPDC-E2 163 176エピトープ"臨床免疫. 35(4). 412-419 (2001)
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[Publications] 石橋大海: "原発性胆汁性肝硬変とHLA"肝臓. 45(5). 227-230 (2001)
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[Publications] Gershwin, ME, Shimoda S, Ishibashi H, Coppel RL: "Falk Symposium 117 : Hepatology 2000 -Symposium in honour of Gustav Paumgartner"Kluwer Academic Publishers(in press). (2001)
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[Publications] Ishibashi H, Shimoda S, Shigematsu H, Nakamura M: "General Aspects of Molecular Biology and Immunology for the treatment of Intractable Liver Diseases, Tsuji T, Meyer zum Buchenfelde KH (eds)"Elsevier Science BV(in press). (2001)